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エドワード·ルイ·アースキン

 新連載です! よろしくお願いします!

 短編版の続きは8話からになりますので先が気になる方はこちらを↓


 ちなみに連載版の後書きにはチラチラと設定が載ってるのでよろしければご覧くださいませ。

 



「97、98、99!」

「流石ですぞ、エドワード様!」


 今日の剣術の講義のシメは腕立て伏せ百回。こう言う地味な筋トレは軽視する奴が多いらしいが、実は一番大事らしい。


「100ッ!」

「お疲れ様でした」


 俺の執事であり、剣の指南役でもあるアンドリューが渡してくれたタオルで軽く汗を拭く。


「次は法学の講義か。けど、まだ時間があるな」


 法学の先生が来るまでまだ三十分くらいある。なら、素振りをもう少ししておくか。

 

「少し休まれては?」


 素振りしようと剣を取ろうとした俺にアンドリューがそう声をかけてくる。が、俺は動きを止めず、剣を取った。

 

「まだまだ。”王族たるもの、誰よりも勤勉であるべし“だろ?」


「何と言う高いお志……亡き母君、フローレンス様も天国でお喜びでしょう」


 俺はこのアイゼムアース王国第一王子、エドワード・ルイ・アースキン。さっきアンドリューも言っていたが、俺の母はもうこの世にはいない。父である王、ウィリアム・アレクサンダー・アースキンとあまり一緒にいることはないから実質アンドリューが俺の唯一の家族だ。


「しかし、次の法学はシャーロット様とご一緒されるのではありませんでしたかな?」


 あっ……そうだった。


「未来の奥方と会う前に身支度をした方がよろしくはありませんかな」


「……湯を浴びてくる」


 俺は素早く剣を片付け、シャワーを浴びに風呂へと向かう。流石に婚約者に会う前には汗くらい流しておかないとな。



「いよいよ明日ね」

「ああ」


 法学の勉強の後、俺はシャーロットに誘われて庭園を二人で散歩していた。話題は勿論明日に迫った天恵の儀だ。


「エドなら素晴らしいスキルを授かるに違いないわ! だって、いつも誰より努力してるもの」


 天恵の儀とは成人した王族が神より一つスキルを授かるための儀式だ。スキルは神からの贈り物。だから志や資質の高い者など神から愛された者ほど凄いスキルを授かるとされている。


「それを言うならシャーロットだってそうだろ?」


「ふふふ……ありがとう、エド」


 そう言って微笑むシャーロットはどんな絵画に描かれた女神より美しい。


 トン……


 シャーロットが肩に軽く頭を預けてくる。僅かに頬に触れる髪は艷やかで絹糸のようにサラサラだ。


(シャーロットに相応しい男にならないとな)


 天恵の儀かある明日は俺にとって大切な日。だが、どんなスキルを授かったとしても俺のすることは変わらない。どんなスキルだって持ち主が使いこなせなければ意味がないんだから。



「久しいな、エドワード」

「お元気そうで何よりです、父君」


 天恵の儀が行われる礼拝堂に父がやってきた。その後ろには義母と義弟であるアレクサンダーがいる。


(そう言えば、アレクサンダーも十八だったな)


 アレクサンダーは後妻である義母と父の息子だ。後妻の息子なのに何故俺と同い年なのか……それを知った時には随分父に憎しみを覚えたものだが、まあ今となっては昔の話だ。


「政務が忙しくてな。寂しい思いをさせているな」


「お心遣い痛み入ります」


 形ばかりの労いの言葉をかけてくる父に、俺は軽く頭を下げる。王である父が忙しいのは間違いない。が、俺とほとんど接点がない理由は単に父が義母やアレクサンダーと共に生活しているからだ。


「しかし、ご心配なく。私ももう十八。それにアンドリューがおりますから」


「そうか。今日は楽しみにしているぞ」


 そう言うと、父は義母とアレクサンダーを伴い一番前の席に座る。父の右隣には義母、左隣はアレクサンダーだ。


「それではこれから天恵の儀を執り行います。先ずは第一王子エドワ──」


「司教、先ずはアレクサンダーから頼む」


「王!? いや、しかし位の高いものから行うのが伝統で──」


「だからこうして頼んでおるのだ。それとも、もしや儂の頼みが聞けぬと申すのか?」


「ヒッ……しかし」


 司教は父と俺をに交互に視線を走らせ、顔を青くした。天恵の儀は位の高いものからと決まってるから、父の言うことを聞けば俺を軽んじたことになる。が、伝統通りに俺を一番にすれば、父を軽んじたことになる。つまり、どうやっても王である父か第一王子である俺のどちらかの不興をかってしまうのだ。


「司教。アレクサンダーの方が席が近い。アレクサンダーから始めてくれ」


「わ……分かりました、エドワード殿下。ではアレクサンダー様、こちらへ」


 司教は俺の言葉にほっとした表情を浮かべると、もう横槍は御免だと言うかのように式を始めた。やれやれ、聖職者も大変だな……

 ちなみにもう耳タコかも知れませんが、フォローやポイントは僕達書き手の原動力なのです。もし、”ちょっと先が気になるな〜“とか、“もう少し読んでみてもいいか”とか、”後書きまでこんなことを書くなんてどんだけ欲しがりさんなんだよwww“などと思われる方がおられましたら、是非このページを更に下にスクロールしてポチッとして頂けると……ワタクシの執筆意欲が爆上がりします! 是非ご一考下さいませm(_ _)m

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― 新着の感想 ―
ぽちっとブクマと評価しときましたw 面白いですね!
主人公とその周囲の関係性から、不穏な雰囲気が伺えます。 ワクワク感を凝縮した、すばらしい第一話です。 新作は貴種流離譚でしょうか? ドロドロ家庭で復讐ものとは期待大です。
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