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俺だけのスキル【ガチャ】が世界を救う  作者: 渡琉兎


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第80話:コロッセオ⑧

 ――彩音もまた、分断されてすぐ、恭介と同じように状況分析を行っていた。


「各個撃破かー。私にとってはむしろそっちの方がありがたいかなー」


 すでにスキル【全体指揮】を発動しており、身体能力が上がっている。

 竜胆のスキル【共鳴】が半径一〇メートルの範囲に対して、【全体指揮】の効果範囲は半径五〇メートルと広範囲だ。

 仮に竜胆や恭介が舞台を動き回り、端の方に移動したとしても十分に効果範囲には入っている。

 故に、竜胆や恭介の動きを気にすることなく、彩音も自由に動くことができるのだ。


「うーん、竜胆さんは大丈夫でしょうか?」


 とはいえ、それは彩音ならという話であり、彼女も恭介と同じように竜胆のスキル【共鳴】の効果範囲を考えていた。

 だが、すぐに思考は中断を余儀なくされてしまう。


 ――ザシュ!


 木の枝が竜胆や恭介同様に襲い掛かってきただけでなく、魔法を行使している張本人が彩音の前に現れたのだ。


「我の相手が女子とはなぁ、面白みのない」


 杖のエルフが何気なく呟いた一言が、彩音の逆鱗に触れる。


「……はあ? あなた今、なんて言いました?」

「ふん! バカにされたくらいで怒りを露わにするとは、やはり女子は……」


 呆れたようにそう口にした杖のエルフが肩を竦めると、彩音は鋭い視線を向けた。


「傲慢なエルフによくあるセリフですね」

「我らが傲慢とな? 面白い発想をお持ちのようだ」


 彩音の言葉に面白い要素などないと彼女は思っている。

 しかし杖のエルフは楽しそうな笑みを刻み、手に持つ杖を彩音に向けた。


「傲慢と思い、それを口にしているのだから、それ相応の覚悟は持っている、ということだな?」

「その覚悟がどんなものを指しているのかは分からないけど、あなたを倒す覚悟はしているつもりよ」

「ほほ! それは本当に面白い冗談だな! ならばやってみるといい! 胸を貸してやろうではないか!」


 どれだけ言葉を交わしたとしても、杖のエルフの上から目線が変わることはない。

 ならばと彩音は自分の覚悟に従って、杖のエルフを倒そうと剣を構える。


「それじゃあその胸、切り裂いてあげるわ!」

「ウッドスピア! ウッドバースト!」


 杖のエルフがそう口にすると同時に、木の枝が壁から飛び出してきた。

 それを回避して彼我の距離を詰めようとした彩音だったが、今回の枝は飛び出すだけでは終わらなかった。


 ――ドンッ!


「爆発したですって!?」


 彩音が回避した直後、枝の先端から小規模の爆発が起きたのだ。


「くっ!」

「まだまだあるぞ! ほれ、どうした! さっきまでの威勢はどこにいった!」


 木の枝を回避した直後から爆発が起きる。

 爆発を警戒して大きく回避することもできるが、そこにはすでに次の枝が飛び出してきており、彩音は少しずつではあるがダメージを蓄積させていく。


「あー、もう! 面倒になってきたわ!」

「諦めてくれたかな?」

「冗談は顔だけにしてよね!」

「なっ! もう許さんぞ! 一気に殺してやろうではないか!」


 エルフは誰もが眉目秀麗な種族であり、他種族に見た目を愚弄されるのを何より嫌っている。それは自分たちこそが何より美しいと思っているからだ。


(エルフの挑発って楽よねー。見た目に文句をつけたら、あっさり乗ってくれるんだから)


 これで隙を見せてくれたらありがたいと彩音は思っていたが、舞台上は杖のエルフの領域でもある。

 四方八方から木の枝が飛び出し、彩音へ襲い掛かっていく。

 彩音はこの瞬間、地面を強く蹴りつけて全力で駆け出した。


「スキル【(ふう)】」


 ここで彩音は誰にも伝えていない隠された二つ目のスキルを発動させた。


「速い!?」


 まさか大量の木の枝を、そして爆発すらさせない速度で駆け抜けられるとは、杖のエルフも思ってもいなかった。


「だが――ウッドラビリンス!」


 ここは杖のエルフの領域であり、木の壁は彼の思い通りに動かすことができる。

 彩音の進行方向に木の壁を形成しようと、周囲の壁が蠢きだす。


「させないわ! スキル【(りん)】!」


 木の壁は杖のエルフが操っているはずなのだが、何故か彩音の行く先を遮ろうとしていた壁だけが一瞬だけいうことを聞かなくなっていた。


「な、何をした、貴様!」

「私の隠し玉よ、教えるわけがないでしょう?」


 そのまま速度を落とすことなく、彩音は自らのスキルを信じてまっすぐに駆け抜けていく。

 その速度は風の如く、一陣の風と化して杖のエルフを間合いに捉えていた。


「……あっぱれなり」

「ありがとね」


 杖のエルフがそう口にした直後、彩音の返答と共に袈裟斬りがその体を両断していた。

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