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俺だけのスキル【ガチャ】が世界を救う  作者: 渡琉兎


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第67話:彩音への説明

 移動した場所は恭介が行きつけにしている喫茶店だ。

 秘密の話をするにはどうかと思った竜胆だったが、最近のお店には防音設備が整っている場所も多く、今回の喫茶店もその一つだった。


「知り合いの元プレイヤーが運営している喫茶店でね、密談をすることも多かったからって、防音設備には十分注意しているんだ」


 それなら問題ないということで、竜胆たちは昼食を取りながら、彼のスキルについて彩音へ説明することにした。


「美味しそうですね!」

「そうだな」

「まずは腹ごしらえといこうか」


 体を動かしたからか、いつも以上にお腹が空いていた。

 注文した料理が運ばれてきたこともあり、竜胆たちはまずお腹を満たすことにした。


「とっても美味しいです! 私も行きつけにしようかな……」

「それだと僕も紹介した甲斐があるよ」


 そんな何気ない会話を楽しみながら、料理を全て食べ終わると本題に入ることにした。


「それでだ、彩音。俺のスキルについてなんだが……ん?」


 竜胆が話を始めようとしたところで、何故か彩音が手を前に出して話を止めた。


「……どうしたんだ?」

「いいんですか、竜胆さん?」

「いいって、スキルのことか?」


 話をすると言って集まっているのだから当然だと思ったものの、何故か彩音は困ったような顔をしている。

 それが気になり、やはり協会の差し金だったのかとも考えたが、それなら素直に話を聞いていた方がいいのではないかと思い直した。


「はい。その、竜胆さんは私のことを疑っていたでしょう? 協会の回し者じゃないかって」

「……気づいていたのか?」

「なんとなく、避けられているような気がして」


 苦笑いを浮かべながら彩音がそう口にする。


「先に言っておきますけど、私は協会の回し者ではありません。支部長に依頼されて竜胆さんに同行していますが、それは単純に将来有望なプレイヤーを守り、育てたいという支部長個人の判断なんです」


 竜胆がスキルについて説明する前に、彩音から自身の立場についての説明が始まった。


「私は竜胆さんが覚醒したばかりの頃を見ています。その時から、期待できる新人さんだなって思っていたんです」

「どうしてだ? その時は特別なことなんてしていなかったはずだろ?」

「そうですね。でも、竜胆さんがどのようにして動いていたか、なんとなく想像がついたんです」


 彩音の発言を受けて、竜胆はスタンピードが発生した時のことを思い出した。


「あの時は一瞬だけ見かけただけですけど、プレイヤーとして何を成すべきなのか、それをイメージして動いているように感じました」


 確かに、竜胆はプレイヤーなら一般人を一人でも多く助けなければ、という思いで動いていた。

 竜胆は気づいていなかったが、まさかそんなところまで見られていたとは、驚きでならない。


「だから、そのあとのランク審査に同行したいと申し出たんです。そして、その時の動きも初見のモンスターを相手に的確な動きをしていたと思います」


 プレイヤーになりたいという一心で蓄積していた知識が役に立ったのかと、竜胆は内心で嬉しさを感じていた。


「だからかな、支部長から話をいただいた時、即答でこの依頼を受けたんです」

「そうだったんですね」


 そんなことだとは思いもよらず、竜胆は申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまった。


「そうだったのか。それなのに俺は、お前のことを疑い続けていたんだな……」

「竜胆さんが気に病まないでください! あれだけの力を持っていたら、誰だって隠したくなりますから!」

「あれだけの力? ……もしかして、支部長との再審査の時のことか?」

「そうですよ! あれは間違いなくCランクに留まっていていい力じゃないですから! ものすごいスキルです!」


 竜胆のスキルの一端を見てしまった彩音だからこその勘違いなのかもしれない。


「……彩音、あれも確かに俺のスキルだ」

「そうですよね!」

「だけど、あれだけじゃないんだ」

「中級剣術がありますもんね! まさかダブルスキルだとは思いませんよ!」

「そうじゃないんだ」

「……えっ?」


 ダブルスキルでも珍しいのだからと納得していた彩音だが、竜胆の言葉に困惑を隠せなくなる。


「……まさか、トリプル?」


 彩音の言葉に首を横に振る竜胆。


「…………ま、まさか!」

「俺の本来のスキルはガチャ。そして、そのガチャを使って他のスキルを最大で三つまで獲得することができるんだ」

「……さ、最大で三つですって!?」


 驚愕の事実に、彩音は大声をあげながら頭を抱えた。


(防音の部屋にしておいてよかった~)


 そして、恭介は一人、まったく別のことを考えながらホッとしていた。

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「続きが気になる」

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