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俺だけのスキル【ガチャ】が世界を救う  作者: 渡琉兎


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第143話:合流

「――呼ばれてきました風桐彩音でーす!」

「……なんでそんなにテンションが高いんだ、お前は?」


 竜胆に呼び出された彩音は、顔を合わせて早々にそんなハイテンションな挨拶をしてきた。


「だって! 鏡花ちゃんのためって言われたら、そりゃあテンションも上がりますよ!」

「よ、よろしくお願いします、彩音さん」

「まっかせてちょうだい! お姉さんが鏡花ちゃんのことを守ってあげるからね!」

「……お前、そんなキャラだったか?」


 見たことのない彩音のテンションに若干気圧されていると、彩音に続いて連絡を取っていた恭介が現れた。


「お待たせ、みんな」

「矢田先輩には渡しませんからね、鏡花ちゃん!」

「……えっと、どういう流れでそうなったのかな?」


 状況がまったく理解できていない恭介が苦笑いを浮かべており、そこへ竜胆が雅紀のことを説明した。


「……なるほど、そういうことだったんだね」

「なあ、恭介。お前は久我雅紀って奴のことを知っているのか?」

「うーん、部署も違うし噂程度かな。目的のためならどんな手段もいとわないらしいよ」


 恭介からの情報も、拳児からの話と大差なく、竜胆はそういう人間なのだと納得する。

 そうなると、本当に鏡花を手に入れるためにあの手この手を尽くしてくるかもしれない。犯罪に手を染めてまで。


「だけど、どこから鏡花ちゃんの情報が漏れたのか、それも問題だよね」

「あぁ。可能性が高いのは、病院の職員だな」

「環奈先生はそんなことしないよ!」


 竜胆の呟きに異を呈したのは鏡花だった。


「分かってるよ。先生じゃなくて、周りの職員のことを言っているんだ。鏡花が覚醒した時の光は、部屋の外にも漏れていただろうし、そのあとの鏡花の変化も気づかれているだろうしな」

「あ……ご、ごめん、お兄ちゃん」

「気にするなよ。俺も絢瀬先生を疑うようなことはしたくないしな」


 鏡花が入院してからずっと、環奈は彼女を治療するだけでなく、心の支えになってくれていた。

 退院してからも、鏡花の中で環奈は心の支えになっているはずだ。

 そんな彼女を疑う真似は、竜胆にもできなかった。


「だけどさ、竜胆君。僕たちを呼んだのは、鏡花ちゃんの護衛のためだけじゃないんだろう?」


 護衛だけなら竜胆がいるし、男性の竜胆がついていけない場所には彩音がいる。

 恭介が呼ばれたということはと考え、彼は確認をしていた。


「あぁ。実は鏡花と一緒に扉に入ろうと思っているんだが、二人にも同行してほしくて――」

「行きます! 絶対に行きますからね!」

「……お、おぅ。よろしく頼むな、彩音」

「はい!」


 満面の笑みでやる気を見せてくれた彩音に、竜胆は苦笑いしながらお願いする。


「僕も大丈夫だよ」

「助かるよ、恭介」

「そういえば、鏡花ちゃんのランクってどうなったの?」

「あ! 私も気になります!」


 恭介の質問には彩音も興味をそそられたようだ。

 そこで竜胆と鏡花は一度顔を見合わせると、ニヤリと笑って口を開く。


「「扉の中でのお楽しみかな」」

「「……え?」」


 もったいぶる時点でEランクではないことには気づいた恭介と彩音だったが、まさかBランクだとは思っていない。

 二人の驚く顔を思い浮かべた鏡花は、自然と笑みを浮かべている。


「……まあ、竜胆君の妹さんだからね」

「規格外の血は受け継がれるってことですかねー?」

「それは褒めているんだよな、彩音?」

「もちろんですよ! 鏡花ちゃん、頑張ろうね!」

「はい!」


 こうして竜胆たちは、鏡花の初めての扉攻略へ赴くのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 目的の為なら手段を選ばない お金に糸目をつけない それならばエリクサー買い集めたり所有者から奪ったりすれば? と言いたいですね。
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