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俺だけのスキル【ガチャ】が世界を救う  作者: 渡琉兎


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第137話:鏡花のプレイヤー登録

 鏡花とのデートを終えた二日後、竜胆は妹と共にプレイヤー協会へ足を運んでいた。

 というのも今日は、鏡花のプレイヤー登録を行うつもりだ。


「あれ? 天地様、今日はお一人ですか?」


 竜胆が姿を見せると、すぐに青葉が声を掛けてきた。


「いや、妹と一緒なんです」

「は、初めまして」


 鏡花を紹介すると、彼女はおどおどしながらも挨拶をする。


「初めまして。受付嬢兼、天地様の専属受付嬢をやってます、柳瀬青葉です」

「ん? いつから俺専属になったんですか?」


 思いもよらない発言を耳にして、竜胆は怪訝な表情で確認した。


「私が勝手に名乗っているだけです! 気にしないでください!」

「いや、気になるでしょうよ」

「でもまあ、天地様の規格外な戦果を何度も対応したのは私なんですし、いいんじゃないでしょうか。他の人に任せたら、毎回驚かれちゃいますよ?」


 楽しそうに青葉がそう口にすると、竜胆もそれはそうかと納得してしまう。


「……まあ、それはともかく。今日は妹のプレイヤー登録をお願いしたいんです」

「え? 妹さんもプレイヤーに覚醒したんですか?」

「は、はい」


 青葉が驚きの声をあげると、鏡花が申し訳なさそうに返事をした。


「あ、気になさないでください。家族でプレイヤーをやられている人は多いですからね」

「それじゃあ、どうして驚いたんですか?」


 珍しくないのであればと思い、竜胆が確認を取る。


「あー……天地様みたいに規格外になるんじゃないかと、驚いちゃいました」

「……それ、褒めてます? 貶してます?」

「ほ、褒めてますよ! 当然じゃないですか!」


 何やら面倒くさがられているように感じられた竜胆がジト目を向けると、青葉は慌てて褒めていると言い始めた。


「と、とにかく、妹さんのプレイヤー登録ですね! こちら、書類になりますので記入をお願いいたします」


 青葉が書類をカウンターに置くと、鏡花はそちらと睨めっこしながら項目を埋めていく。


「今日は登録だけですか?」

「その予定です。鏡花の初陣では、恭介と彩音も一緒に行く予定なので」

「うわー……ものすごく豪華な布陣ですねー」

「何か文句ですか?」

「いえいえー。まさか、そんなー」


 どうにも引っ掛かる言い方をしてくる青葉に、竜胆のジト目が止まらない。

 とはいえ、ランク的にも、実力的にも、新人プレイヤーが同行するには確かに豪華な布陣であることも否めないため、これ以上の追及は止めることにした。


「……できました!」

「はい、ありがとうございます」


 このタイミングで鏡花が顔を上げたこともあり、話は終わり青葉は書類の処理に移った。


「……ねえ、お兄ちゃん」

「ん? どうした?」


 青葉がカウンターを離れたことで、鏡花が声を掛けてきた。


「お兄ちゃんは、彩音さん派なの? それとも、受付のお姉さん派なの?」

「……すまん、なんの話をしているんだ?」


 鏡花から口にされた突然の問い掛けに、竜胆は困惑しながら首を傾げた。


「だって、人気者だなーって思っちゃってー」

「誰が? 俺がか? まさかだろ?」

「……はぁ~。ほんっとうに、お兄ちゃんは鈍感だよね~」


 肩を竦めながらやれやれといった感じを見せている鏡花を見て、竜胆はさらに困惑を深めてしまう。


「鏡花、いったい何を言って――」

「お待たせいたしました。天地様……じゃなくって、鏡花様にはこれからランク審査に入っていただきます。竜胆様もご覧になられますか?」


 二人とも天地だと気づいた青葉が言い直すと、竜胆は一つ頷いた。


「俺の時は彩音が見ていたんだったか」

「そうなの?お兄ちゃん」

「あぁ。先輩冒険者に見てもらいたかったっていうのもあるし、見学を許可したんだ。鏡花が遠慮してほしいっていうなら、止めておくけど?」

「ううん、見ていてほしい。……たぶん、その方がいいと思うから」

「……あ、あぁ、分かった」


 何やら言い淀みながらの発言が気になったが、竜胆は鏡花と一緒に、青葉の案内で地下三階のトレーニングルームへ向かう。

 プレイヤーになってほしくないと思いながらも、心のどこかではどのようなスキルを与えられたのか、それが気になって仕方がない竜胆。

 とはいえ、どのようなスキルだったとしても、自分が鏡花を守るのだと改めて心の中で誓っていた。

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