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俺だけのスキル【ガチャ】が世界を救う  作者: 渡琉兎


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132/173

第132話:報告

公開から一週間!

日間最高8位!

週間最高14位!

まだまだ上がりたいので、何卒応援のほど、よろしくお願いいたします!!

 協会ビルへと移動した竜胆たちは、受付に立っていた青葉に軽く挨拶をするだけで、すぐに支部長室へ繋がるエレベーターへ足を向ける。

 何度も支部長室へ向かっていることもあり、青葉も竜胆たちを止めることはなく、ただ笑顔で見送ってくれる。


「もう慣れたんだろうな」

「まあ、何度も青葉ちゃんの制止を無視してたからね」

「柳瀬さんは真面目なんですよ。でもまあ、慣れは慣れですかね」


 まっすぐにエレベーターへ向かう行動を慣れさせてしまった張本人である三人は、苦笑いを浮かべながら乗り込んだ。


「なんだ、てめぇら。受付嬢にまで迷惑を掛けてんのか?」

「受付嬢にまでって、他に誰に迷惑を掛けたって言うんだ?」

「そんなもんお前、支部長に決まってんじゃねぇか」

「「「「……え?」」」」


 国親が当然と言わんばかりの感じで拳児に迷惑を掛けていると告げると、残っていた全員が驚きの声をあげた。


「……あん? なんだ、てめぇら?」

「えっと、国親? まさかとは思うけど、堂村支部長のことを、そこまで尊敬しているのかい?」

「尊敬とかの問題じゃねぇだろう。上に立つ人間なんだから、敬うのは当然じゃねぇか? 恭介もそうだろう?」


 見た目で判断してはいけない、という典型を見た気がした竜胆たちは、苦笑いしながらお互いに顔を見合わせる。


「……マジで何なんだよ、てめぇらは。おら、そろそろ着くぞ!」


 そして、竜胆たちが何をもって苦笑いしているのか分かっておらず、国親が実は天然なのではないかという疑問が、彼らの脳裏に浮かんできてしまう。

 そんなことを考えているとエレベーターは支部長のフロアへ到着し、国親が大股で歩いていく。


「……まあ、いいか」


 国親が天然なのか否かは横に置いておくことにした竜胆は、気を引き締めて支部長室の扉をノックする。


『――入っていいぞ』


 青葉が連絡を入れていたのだろう、支部長室から拳児がそう告げたので、竜胆もそのまま扉を開いた。


「失礼します」

「相変わらず、いきなりだな」

「時間が勿体ないと思いまして」

「確かに、その通りだ。だがまずは、攻略おめでとう。助かったよ」


 軽いやり取りのあと、拳児は真剣な面持ちで立ち上がると、竜胆たちへ頭を下げた。


「多くのプレイヤーが犠牲になってしまった。これも俺の管理が甘かったからだ。そんな扉を攻略してくれた天地プレイヤーたちに、感謝の意を」

「そんなものはどうでもいい。さっさと報告を始めるぞ」


 拳児としてはいたって真面目に対応していたのだが、そんな彼を一蹴するように影星が言い放った。


「……影星、お前なぁ」

「時間が勿体ないんだろう? なら、さっさと報告を聞くべきだろう。ほら、天地竜胆も、他の奴らも座るんだ」


 まるで秘書のような動きで、影星がテキパキと指示を出していく。

 あまりに慣れた動きのせいで、竜胆たちも思わず指示に従い、気づけばソファに腰掛けていた。


「……あ、あれ?」


 思わず驚きの声を漏らした竜胆たちを眺めながら、何故か影星は満足そうに壁際へ移動する。

 そんな衛星を横目に見ながら、拳児は苦笑すると竜胆の向かい側へ腰掛ける。


「影星の言う通りだな。では、報告を聞こう」

「……わ、分かりました」


 こうして竜胆たちは、星4の二重扉についての報告を始めた。

 モンスターの種類やスキルが使えなくなったこと、そして攻略後に竜胆たちだけが足を踏み入れた真っ白な部屋についても、事細かに伝えていく。

 その中でスキルの強化、獲得という選択肢があったことには拳児も驚愕しており、彼の反応だけで初めて聞く情報なのだろうことはすぐに判断できた。


「……後天的にスキルを強化、獲得できるのか。それはすごいな」


 思わずそう呟いた拳児だったが、すぐに視線が竜胆へ向くと、首を左右に振る。


「どうしたんですか、支部長?」

「いや、普通であればすごいことなのだが、天地プレイヤーにとってはそうでもなさそうだと思ってな」


 スキル【ガチャ】によって、運の要素は強いものの後天的にスキルを獲得できる竜胆にとっては、そこまで重要なことではなかったのではないかと拳児は考えていた。


「いえ、俺にとってもものすごい強化になりました」

「ということは、天地プレイヤーはスキルの獲得ではなく、強化を選んだんだな」

「はい。というか、選択肢がそれしかなかったですがね」


 そう口にした竜胆が苦笑すると、誰もが納得したのか大きく頷いた。


「おいおい、お前ら。俺がいるってことを忘れてないか? おい、竜胆。俺に聞かれても本当にいいのか?」

「ん? あぁ、もちろんだ」

「……即答かよ」


 思わず国親が確認のため口を挟んだのだが、竜胆は一切の迷いなく『もちろん』だと言い切ってしまい、国親の方が困惑してしまった。


「ん? なんだ、一緒に来ていたからてっきり伝えているものとばかり思っていたが……だが、天地プレイヤーがそう言っているのなら、いいんだろうな」

「そこはきちんと確認を取るべきですよ、支部長」


 竜胆たちは事前に話をしていたからよかったが、拳児は知らずに竜胆のスキルについて話をしている。

 そのことを影星にチクリとされると、拳児は苦笑いを浮かべるしかできなかった。

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