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俺だけのスキル【ガチャ】が世界を救う  作者: 渡琉兎


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第116話:竜胆の選択

 二つの凶報を受けて、竜胆はどうするべきか一瞬、考えてしまう。


「病院に行った方がいいよ、竜胆君」

「扉の攻略は私たちに任せてください!」


 すると恭介と彩音からすぐに声が掛けられた。


「すまなかった、天地プレイヤー。こっちは任せてくれて構わない」

「いいんですか、支部長?」

「俺に天地プレイヤーを縛る理由がない。それに、妹さんは君がプレイヤーを続ける理由なのだろう? であれば、何よりも優先すべきはそちらだろう」


 拳児からの許可が下りたことで、竜胆は表情を引き締め直した。


「ありがとうございます」

「ただ一つ、お願いしたいことがある」

「なんでしょうか?」


 続けて拳児がそう口にすると、竜胆は頷きながら聞き返した。


「天地プレイヤー。もしもこちらのお願いを聞いてくれるのであれば、妹さんの容体が回復に向かったら、影星と共に駆けつけてくれないだろうか?」


 星4の扉の攻略が失敗に終わった。それも、攻略に必要とされる戦力以上の実力を有したAランクパーティがだ。

 万が一、イレギュラーな星4の扉がスタンピードを起こしてしまうと、街は一瞬にして壊滅してしまう恐れがある。

 数えられる戦力は、一人であっても欲しいところであり、それが竜胆のようなSランクに匹敵するプレイヤーであればなおのことだ。


「もちろんです。すぐに駆けつけます」

「感謝する、天地プレイヤー」

「連絡係は僕と彩音さんが引き受けるよ」

「任せてください!」


 恭介、彩音、拳児から声を掛けられた竜胆は、扉の方へ歩き出す。


「天地竜胆」


 そこへ最後まで口を噤んでいた影星が声を掛けた。


「どうしたんだ?」

「……待っているぞ」


 言葉は短いが、影星はそう口にしてから拳を竜胆へ突き出した。


「……分かった、待っていてくれ」


 竜胆も力強く頷くと、影星の拳に自らの拳を軽くぶつけてから、支部長室をあとにした。


(待っていてくれ、鏡花! すぐに向かうからな!)


 鏡花の身にいったい何が起きたのか。

 その事実を確認するため、竜胆は病院へ全力疾走するのだった。


 竜胆が協会ビルを飛び出してから、二〇分後。


「鏡花!」

「竜胆さん!」


 鏡花の病室へ飛び込むと、そこには光魔法を行使し続けていた環奈の姿があった。


「いったい何があったんですか?」

「それが、私たちにもさっぱり分からないの。エリクサーを飲んでからの精密検査には異常はなかったし、もうすぐ退院できるって鏡花さんとも話をしていた矢先だったの」


 環奈が魔法を行使している先には、ベッドで横になり、苦しそうな表情の鏡花が眠っている。

 大粒の汗が額に浮かんでおり、彼女の両手は無意識に胸を押さえている。


「……鏡花」


 不安そうな声で鏡花の名前を呼び、彼女の右手を自分の両手で包み込んだ竜胆。

 すると、竜胆の声が聞こえたのか、それとも彼の温もりを感じ取ったのか、鏡花はゆっくりと目を開いた。


「……おにい、ちゃん?」

「鏡花!」


 鏡花の声を聞いた竜胆が勢いよく顔を上げ、彼女を見る。


「……心配、しないでいいよ。大丈夫、だから」

「大丈夫なわけないだろう! こんなに苦しそうなのに!」


 苦しそうにしながらも笑みを浮かべた鏡花は、その視線を環奈へ向ける。


「……先生」

「安心してちょうだい、鏡花さん。絶対に、治してみせるからね!」

「……魔法を、やめてください」

「鏡花さん!?」

「何を言っているんだ、鏡花!」


 魔法の行使をやめるよう口にした鏡花に、環奈だけではなく竜胆も驚きの声をあげた。


「……大丈夫。そうしたら、治るから。私の体のことは、私が一番分かるん、だよ?」


 半信半疑だった環奈だが、鏡花の意思は固いのか、辛い中でも強い決意を視線に乗せて彼女を見ている。


「……鏡花の言う通りにしてください、先生」

「竜胆君まで!」


 そこへ竜胆がそう口にすると、環奈はさらに驚きの声をあげた。


「俺たちには分からないことが、鏡花には分かっているのかもしれません」

「危険すぎるわ! 何かあってからじゃ遅いのよ!」

「だけど! ……今の状況から、よくなる可能性はどれだけあるんですか?」

「そ、それは……」


 竜胆が問い掛けると、環奈は口ごもってしまう。


「お願いします、先生。鏡花を、信じましょう」


 そう口にしているものの、内心では竜胆も不安でいっぱいだ。

 環奈が言うように、魔法の行使をやめた途端に何かが起きるかもしれない。

 それが解決に向かうものであればいいのだが、悪い方向へ向かう可能性だって大いにある。

 それでも、竜胆は一番の不安の中にいるだろう鏡花の言葉を信じたいと思ったのだ。


「……分かったわ。鏡花さん、いいわね?」


 竜胆の言葉を受けて、鏡花も決意を固めた。

 何かあったなら、それから自分が頑張ればいいのだと心に言い聞かせて、鏡花へ確認をとる。


「……お願い、します」


 鏡花が力強く頷いたことで、環奈は魔法の行使をやめた。


「…………ぅぅ……ぁぁ……ぁぁああああぁぁああぁぁっ!!」

「鏡花!」

「鏡花さん!」


 魔法の行使をやめた直後、鏡花が苦しそうに悲鳴をあげた。

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