勉強
見渡すと、嫌いな人の方が多かった。
なぜ嫌いなのか、分からなかった。
聞けばこだまのような、同じ返事。
つまらない、メンドクサイ、らしい。
こんなに面白いのに。不思議だった。
むしろ大好きで趣味に入れてもいい。
この気持ちをそのまま言ってみた。
みんなに驚かれ、信じられない!とも言われ、しばらくの間、それまで堂々と開けていた胸の扉は、固く鍵を掛けられることになり一人になった時だけ、開放された。
大昔のアルバムになった出来事である。
懐温かく見守り、むしろ応援してくれていたのは、年配の師匠たちであった。
勤勉でよろしい、と目を細め、頼んでもいないのに、更に奥深い先のことまで教えてくれた。唯一の救いとなり、自身の心は決して間違いではなかったと、安心したものだった。
褒めて欲しいなんて思ったことがない。
むしろ没頭させて欲しかった。いつかは必ず一人で歩いて行かねばならないだろう。
人は一人では生きてはいけないと言う。
しかし、たった一人の、その時は訪れる。
つれあいができても、子孫に恵まれても大勢の友人に囲まれても、誰にでも起こる。その時間軸の長さは皆同じではない。
近年、おひとりさま、ぼっち、つまりは自分一人だけの生きてゆくスキル、孤独力とか言われていた時期もあったかと思うが、ある意味、人が一人で生きる、生きてゆく術をその身ひとつに備えることが求められてきているらしい。
たまに読むビジネスマガジンを開きながらそのようなことを考えていた。
レンジでも温められる豚の生姜焼きを敢えて、フライパンに絹豆腐と一緒に卵とじで煮込む。玄米ごはんも炊き上がり、ひと足早く置いた長ネギと厚揚げのお味噌汁。何十年振りの手習いで始めた心理学。最近、国家資格ができたと知る。よく食べて、よく学ぶ。