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福岡県民、方言丸出しで異世界に行ったら、言葉が通じらんかった件。 〜騎士団長に溺愛されとるのはよかけど、なんでか方言で話すごつゆわれます〜  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中
第三章:福岡県民、子育てする。

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85/86

85:福岡県民、ちょっとしんみり。

 



 この世界に来て、何年が経っただろうか。

 エリアスは十二歳。

 既に私の身長をありえないほどに抜いている。


 今年の四月から、騎士団に入団することが決定してた。


「何で寮に入るとよぉ」

「母上、ここにいるとですね、二人に守られ過ぎていると感じるんです。……と何度言えばいいんですか」

「子供なんやけん、守られとってよかろーもん」

「母上、書類は提出済みなので」


 今更ダダ捏ねても、なんにもならないと言われてしまった。

 エリアスが大人すぎる。


「父上、ニヨニヨしてないで母上を説得してくださいよ!」

「ん? カリナは何歳になっても可愛いなぁ」

「話、聞いてますか?」


 エリアスくんや、そいつ一応聞いているんだよ。それでもその反応なんだよ。頭の中がお花畑なんだよ。


「なるほど、似たもの夫婦ということですね?」

「似てない!」

「似とらんし!」

「……そっくりですね」


 キエェェェェェ! と叫びながら異論を唱えたけれど、完全に無視された。


「私も騎士団に入ろうかなぁ」

「ふぅん? よかっちゃない?」

「駄目だ!」


 ルシアナはわりと強かに世渡りする系の子に育っているので、騎士団でもブイブイ言わせて楽しく過ごしそうだなと思ったけど、ロイは反対らしい。

 こんなに可愛らしく、か細くて、か弱いのに、と。


「ルシアナがか弱かったことなんてあったっけ?」


 はて? と首を傾げていたら、エリアスがクスクスと笑いながら「一切ありません」と断言していた。


「お兄様っ、ひどいっ!」


 ルシアナが両手で顔を覆っていた。

 それを見たロイは慌ててルシアナの背中を擦っている。

 よく見ろ、ソイツ口元は笑っているぞ、と言いたい。


「エリアス、妹になんてことを……」

「ロイ……チョロイ」

「父上……チョロイ」

「お父様、チヨロイ」

「三人でその名を言うなよ!」


 相変わらずの『チョロイ』は健在だった。




 入団式当日から、エリアスは入寮してしまった。

 団服かっこいいとか、騎士の誓いかっこいいとか、ワーキャー言ったものの、帰り道で素早く涙目になってしまっていた。

 屋敷がちょこっとだけ寂しく感じる。


「私がいるじゃない……」


 ルシアナが頬を膨らませてそんなことを言うものだから、嬉しくて、可愛くて、ぎゅむむむっと抱きしめた。


「ありがと、ルシアナ」


 チュッチュと頬にキスをしていたら、ロイに担がれ止められた。


「俺にしとけ」

「おっほう……」

「わぁ……ごちそうさまぁ」


 ルシアナにドン引きされてしまった。


 私とロイは、何年経ってもラブラブだった。未だにベッドの中でイチャイチャすることもある。

 結婚当初より減りはしたが。

 どうやら今日はそういう日らしく、ロイが私を担いだまま主寝室へと向かっていく。


 ――――まったく、もう。辛抱がなかね。


 思春期の子供の前でそんな空気を出すなよ、とは思うものの、ちょっと嬉しくもあるので強くは言わないでおく。




次話は、本日20時に投稿します。

そして、次話で完結となります!

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