81:福岡県民、狂喜乱舞する。
港町二日目。午前中は、また海遊びをした。
エリアスとクラークくんをボートに乗せたり、貝殻拾いをしたり。
ちびっこ二人の体力を削り、お昼寝をさせた。
「さて、買い出しに出発じゃぁぁぁ!」
小声で一人決起集会をしていたら、ロイに頭を撫でられた。
何だかもやっとしたので、横腹チョップ。
「ははは。ほら行くぞ?」
爽やかな笑顔で手を差し伸べられたので、素直に繋いであげた。
地元の人に、海藻類の話を聞きまくった。
やはり、地元の人達は色んな種類の海藻をよく食べているらしい。
「こう、なんていうか、大きさはこれくらいとかが多くて、一ミリくらいの肉厚さで、生だったり、水とかで戻してると、ぬめり気があって……あ、細切りとかにしてもぬめり気が…………」
身振り手振り、なんとも言えない説明。
あちらの世界で言っても伝わらなさそうな残念さ。主に私の語彙力のせいで。
「あーはいはい! 名前はないけど、アレいい味が出るのよね。確かあっちの商店が良く置いてるわよ」
奇跡!
まさかまさかの奇跡が起きて伝わったらしい。
通りすがりのオバちゃんにお礼を言い、小走りで教えてもらった商店へと向かった。
「ごめんください!」
「……謝られたいのか?」
「……へ?」
まさかの『ごめんください』通じない問題。なんでだ! そして、今じゃない感。
こういうとき、なんて言えばいいんだ? お邪魔します?
「こんにちはー」
とりあえず、お昼の挨拶にしてみた。
「はい、こんにちは。どうされました?」
お、通じた。って、今まで挨拶は普通に通じてたけどね。
じゃあなんで『ごめんください』は駄目なんだっていう。
謎のもやもやを残しつつ、さっき通りすがりのオバちゃんにした説明をもう一度する。
「あー、はいはい」
ドサッと出されたのは、昆布っぽいヤツ……『たぶん昆布』が入れられたカゴ。
くんかくんかくんかくんか、激しすぎると笑われながら匂いを嗅いで、『たぶん昆布』は昆布だと判明した。
「こんぶ! 昆布だよ! コンブゥゥゥ!」
その後も、ワカメやお刺し身の横によく乗っているトサカノリなどが出てきた。
ついでに魚の干物も買った。
「塩焼きぃぃぃ!」
一人で狂喜乱舞し、全員からドン引きされたが後悔はない。
とりあえず、ここの商店と契約を結び、定期的に海藻や干物を届けてもらうことになった。
「そんなに美味しいのか?」
「私のソウルフード!」
「ふぅん……」
ロイはそこまで興味なさそうではあるが、様々な海藻を手にとっては私と一緒に匂いを嗅いでくれていた。
次話は、本日21時頃に投稿します。




