77:福岡県民、心が健康らしい。
もうそろそろ社交シーズンも終わりだなぁと思い始めたある日の夜、私は衝撃的な報告を受けた。
「マルティーナとハンス副団長が結婚⁉」
「あぁ、今日そう言われた」
「どっちから⁉」
その質問はどうなんだ? と半笑いで言われつつも、副団長からだと教えてもらった。
「ってことは、事実か!」
「マルティーナの扱いが酷いな」
そう言われると、確かに! そして、否定はしないし、出来ない!
だって、マルティーナだもの。
しかし、マルティーナは王子妃になるのかぁ。ちゃんと敬った扱い出来るだろうか。呼び捨てとかしたら駄目なんだろうなぁ。
そんなことをつらつらと考えていたら、ロイから盛大にツッコミを受けてしまった。
そもそも副団長を敬っていた姿を見たことがないと。
「そんなはず…………そん、な……なかね?」
「な?」
「じゃ、いいか!」
「ブフッ! いや、良くないがな」
良くなかったらしい。まぁ、分かってはいたけども。
妾腹らしいけど、ちゃん国から認められている王子だし。
国王陛下からの信頼も厚い。
仕事も出来る。
「……お?」
「ん?」
「副団長って、わりとスパダリやね!」
「すぱだり?」
ロイはスパダリを知らないらしい。
仕方ないなぁと懇切丁寧に説明したところでふと思い出す。スパダリって造語だった。
マルティーナと副団長は結婚が決定したものの、式などは未定らしい。
王子殿下の結婚式は国を挙げての行事になるので、下準備など諸々が諸々大変らしい。
そういえば、ここに来てそういった国の行事って初めてかもしれない。
元の世界では、他国のそういった行事をテレビで見ていたけど、そこまで興味もなかったので、しっかりと見たり調べたりしたことなかった。
ちゃんと見てれば良かったなぁ。
「カリナの国は、他国のそういった情報まで簡単に収集できるんだよな」
「そだよ」
「凄いな」
しみじみと言われた。
確かに凄かった。私には過ぎた機能だったけども。
自信を持って言える。
使いこなせていなかった! と。
「ふははっ! カリナは本当に心が健康だよな」
「おおん?」
意味が分からないと説明を求めると、普通そういった情報を得られるのならば、血眼になって情報収集して地位向上に役立てるだろうと。
「……ロイは………………テロリストになりそうだね」
「なぜそうなる」
「いや、なんかね。どんまい」
「なぜなぐさめる」
「いや、なんかね。ほんと、どんまいです」
とりあえず、ロイは危険人物だなと認識した。
横でぶりぶり文句を言っているが無視する。
次話は、本日21時頃に投稿します。




