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福岡県民、方言丸出しで異世界に行ったら、言葉が通じらんかった件。 〜騎士団長に溺愛されとるのはよかけど、なんでか方言で話すごつゆわれます〜  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中
第三章:福岡県民、子育てする。

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75/86

75:福岡県民、コソコソする。

 



 ロイが謎のタイミングで嫉妬をして、腰砕けボイスで責めてくる。


「ちょ! やめい!」

「ん? どうした?」


 コイツ、絶対にわざとだ。

 小声で止めろと言ってるのに、また耳元で囁かれた。


「いやはは、騎士団長閣下はまだまだ新婚の雰囲気で羨ましい」

「おっと、失礼いたしました」


 小声で言い合っていたら、主催者である侯爵に話しかけられでしまった。

 ロイが飄々とした顔で返事しているのが余計にモヤッだ。

 モヤッモヤッ!




「ブフッ。カリナ、こそばゆいから!」


 エスコートスタイル中、ロイの内肘にコソコソと爪を立てていたが、特に効果はなかったらしい。


「ちっ!」

「何やってますの、お二人とも」

「あ、マルティーナ! ねーねー、ちょっと聞きたいんだけど――――」


 またもやロイと小声でやり合っていたら、マルティーナと副団長が近付いてきた。

 マルティーナの隣にいる副団長を見ると、スンとした顔でエスコートの手を解いている。


 ――――ツンデレか?


「なんですの?」

「ハンス副団長って、マルティーナのこと好きなんだよね?」

「っ⁉」


 マルティーナに聞くふりして、副団長に爆弾投下。

 副団長が目を見開いて息を飲んだ直後、瞳がフルフルと泳いでいだ。

 マルティーナは顔が真っ赤だ。

 

「あー、やっぱ相思相愛なんだね! 二人ともツンデレやめなよ?」

「うるさい」

「うるさいですわよ!」

 

 うむ、二人とも反応がそっくりだ。




 ◇◆◇◆◇




 分かっていた。

 堕ちているのは。

 



 高飛車で威圧的で不遜な態度ばかり取る、自己中心的な女。

 それが、私がマルティーナに持っていた印象だった。


 ロイとカリナが付き合い出し、結婚することが確実になった頃、マルティーナとカリナの距離が近づき始めた。


「貴方、カリナ様ばかり見てますわね?」


 私が苦手なのか、今まではなるべく関わらないようにしていたくせに、なぜか絡まれた。


「二人は想い合っているのでしょう? 無駄な希望は捨てたらどうかしら?」

「それをお前が言うのか……」


 ロイとカリナを邪魔しているくせに、何を言うんだと思ったから。

 その瞬間、マルティーナが悲しそうな顔をして「解っていますわ。私にだって事情がありますの。どうしようもありませんのよ」と言った。

 いつもの振る舞いからは考えられないほど、艷やかな大人の表情。


「あ、侍女が戻りましたわね」


 そう言った瞬間、スッといつもの高飛車な雰囲気になった。




 しばらく調べて分かったのは、彼女は父親から命令をされていたことだった。どうやってもロイを落とせ、と。


 侍女は父親の息がかかっているのだろう。

 しばらく様子を見ていて気づいたのだが、侍女に飲み物を作らせに行かせたり、何かを取りに行かせたりして、一瞬の息抜きをしているのがわかった。


「なぜ従っている?」

「…………実の子ではなかった娘は、どのような扱いになるか、ご存知で?」

「っ⁉ ロイは、知っているのか?」

「彼には言わないで!」


 ――――あぁ、本当は昔から好きだったのか。


 なんとなくだが、そう思った。そう思えば、様々なことに合点がいく。


 色々なことを堪えて、ひとりで戦う気の強い女。

 マルティーナ。

 誰か、支えてやればいいのに。




 カリナに核心を突かれた。

 分かっていたんだ、堕ちているのは。

 

 だが、まだだ。知られるのはまだ早い。

 準備が整うまでは、全力で有耶無耶にせねばな……。




次話は明日のお昼頃に投稿します。

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