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福岡県民、方言丸出しで異世界に行ったら、言葉が通じらんかった件。 〜騎士団長に溺愛されとるのはよかけど、なんでか方言で話すごつゆわれます〜  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中
第三章:福岡県民、子育てする。

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70:福岡県民、すれ違う。




 こちらに向かってくるロイの顔が怖くて慌てて謝ると、ロイがぐっと目を瞑って悲しそうな顔をした。


「最近…………」


 ロイが何かを言おうとして黙った。

 私の目の前までくると、ゆっくりと深呼吸をし、頬に手を添えてきた。 


「最近、カリナはずっと俺の顔色を伺ってるよな?」

「っ!」

「俺は、そんなに怯えさせるほどの何かをしたのだろうか? 気付かないうちに……」


 私が勝手に怯えているだけなのに、悲しそうな顔をさせてしまった。


 ロイが頬を撫でるのを止めて、私の手を引いて主寝室へと向かった。




 横並びでベッドに座ってポツリポツリ話す。

 体力もメンタルも結構限界なこと、手助けがもっと欲しいこと、ロイと触れ合いたいことも。


「――――もっと早く言って欲しかった」

「ワガママ言いたくなかった。ロイを……困らせたくなかった」

「なぜそうなる! 俺たちは夫婦だろ? 俺はカリナの夫だろ?」

「うん」

「…………頼ってくれよ」


 またロイの大きくて深い溜め息。


「ごめんなさい」

「カリナ、謝って欲しいんじゃないんだ。頼ってくれよ……頼むから、俺が手を出していいという合図を出してくれ。じゃないと…………」


 私の自尊心を傷つけてしまう。だからずっと我慢していた。

 そう言われて、涙腺が崩壊した。

 ロイはずっと待っていてくれた。


「どぅぉいぃ……」


 ロイ、と言いたかったのに鼻水できちんと話せなかった。


「ほら、鼻をかめ」

「うん」


 ティシューを受け取って、ブジュゥゥと豪快な音で鼻をかんでいたら、ロイがクスクスと笑い出した。


「カリナ、覚悟しろよ?」

「へ?」


 ベッドにドサリと押し倒され、両手を頭の横に縫い付けられた。

 

「ロ、ロイさんんんん?」

「俺がどれだけカリナを愛しているのか、分からせないといけないな」

「あっ、ちょ、ん――――」




 ロイの甘く刺激的なワカラセ、えげつなかった。

 厚い胸板に閉じ込められ、深い深い眠りに落ちて、驚くほどによく寝てしまった。

 起きたら翌日のお昼を過ぎていた。


「ん。起きたな」

「ロロロロイ、仕事っ」

「急ぎのものはないから、今日と明日は休みを取った」

「……ごめん」

「カーリーナー? そこはありがとうだろ?」


 困ったような笑顔でそう言われて、ハッとする。

 また謝ってしまった。


「ありがと」

「ん。飯の用意をさせる。今日はゆっくりと二人、ベッドの上で過ごそうな?」

「うん! …………ん? うん?」


 お腹が減っていたので勢いよく返事したが、後半の言葉が何か変だった。

 二人、ベッド、過ごす?


 リリーさんがご飯を持ってきてくれて、ベッドテーブルを使って二人でのんびりと軽食タイプのお昼ご飯を食べた。

 エリアスは、リリーさんとエマちゃんが責任を持ってお世話してくれるらしい。

 ありがとうと伝えると、ゆっくり休んでほしいと微笑まれた。

 みんなが優しくて、心がポカポカとした。




次話は、本日19時頃に投稿します。

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