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福岡県民、方言丸出しで異世界に行ったら、言葉が通じらんかった件。 〜騎士団長に溺愛されとるのはよかけど、なんでか方言で話すごつゆわれます〜  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中
第三章:福岡県民、子育てする。

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69:福岡県民、育児に奮闘する。

 



 エリアスが生まれて半年。

 一人での育児は無理だと悟った。

 世のお母さんたちって凄い。


 短時間での授乳、おむつ交換、よくわからないギャン泣き。

 しかも離乳食まで始まり、泣く理由の幅がどんどんと増えていく。


「おおぉ? おむつでもお乳でもないの⁉」


 なぜに海老反りで泣いてるのか、全くわからない。

 とりあえずベビーベッドから抱き上げ、縦にして背中を擦ってみる。


「んにゃぁぁ…………へひゅ」

「お? 泣き止んだ」

「寝ぐずりでしょうねぇ」

「素直に寝ればいいのにぃぃぃ」

「アハハハ」


 なぜかエマちゃんに爆笑された。

 エマちゃんの母であるリリーさんにもくすくすと笑われてしまった。


「もー、なんで笑うの!」


 エリアスが生まれて、小声で騒ぐという謎の技術を会得した。

 他にはお乳をあげながら寝たり、座ったまま寝たり、ご飯を食べながら寝たりという特殊能力も得た。


「カリナ様、限界を迎えられる前に、ちゃんとお申し付けくださいね?」

「うん」


 なるべく自力でと言っていたが、週一だけでもガッツリ眠る時間が欲しくなってきた。

 ロイは乳母を雇おうかと言ってくれたのだけれど、断ってしまっていた手前、お願いし辛い。


 そして、ロイまで寝不足になってしまうのは仕事に差し支える、そう思って寝室を別にしたせいもあり、色々と拗れているというのもある。




「おかえりなさい」

「ん」


 ロイも育児にしっかりと参加してくれている。何なら私よりもテキパキと対応している。

 仕事から帰ったら、エリアスを抱き、額にキス。

 私にはなし。頬をそっと撫でられるだけ。


「今日はどうだった?」

「ゴロゴロ転がって遊んどった。ハマってるらしかよー」

「ふっ。なかなかヤンチャになりそうだな」

「ねっ!」


 会話は普通に楽しくしてるし、一緒に笑いあいもする。

 でも、触れ合いが全くなくなった。

 それが、少し…………いや、とても寂しい。




 今日の夜はリリーさんにお願いして、エリアスを預かってもらうことにした。

 ロイが私とエリアスの寝室におやすみを言いに来る前に、ロイの執務室に向かった。


「ん? 一人か。どうした?」


 机で書類を読んでいたロイが顔を上げた。

 私一人だと分かった瞬間に笑顔から真顔になる。

 それだけで心臓がギュッと締め付けられてしまう。


「あんね、今日こっちで寝てもよか?」

「構わないが……エリアスはどうした?」


 リリーさんに預けたと言うと、方眉を上げて不可解そうな顔をされてしまった。

 声はいつもより低い。

 

「…………だめならよかと」

「構わないと言ったよな?」

「っ……だって、なんか怒っとる」

「ハァ」


 やばい。

 私、めんどくさい女になってる。

 ロイがくしゃくしゃと髪を掻き混ぜて、書類を引き出しに雑に仕舞うと、こちらに向かってきた。


「ごめんっ」


 ――――怒らせた!




次話はお昼頃に投稿します。

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