65:福岡県民、食べまくる。
ムッスリ顔で、全身から不機嫌オーラを出すロイに軽く謝りつつ、マドレーヌを食べる。
「この状況でよくもまぁ食べられますわね?」
「出来立て放置なんて、もったいないじゃん」
「……」
ロイの眉間にシワがギュムムムっと寄っている。
「マルティーナは、俺が反対しているのを知っていたのに、菓子を持ってきんだな?」
「ええ」
「相変わらず、後先を考えない女だな」
「あら、考えておりますわよ? 食べたいというのに、頑なに食べさせないのは虐待ですわよ? 貴方が怒ったところで、私を嫌ったところで、今更なので。私の好きにいたしますわ」
マルティーナが強い。
ロイに睨みつけられているのに、顎をツンと上げて無視。
めちゃんこ感心しつつ、マドレーヌをパクリ。んまい。
「……カリナ、平気なのか?」
「おん。ここの、おいしぃねえ。マルティーナ、ありがとね!」
「このくらいなんでもありませんわ」
私もイライラしているロイは無視で、マルティーナにお礼を言いつつ五個目のマドレーヌをパクリ。
眉間に皺を寄せたロイが、私の袖をツンツンと引いてきた。
「なん?」
「平気なら、いいんだ。だが、その……夕飯が入らなくなるからな、そろそろ、な?」
徐々にしょんぼり顔になってきた。
うむ、可愛い。
あまりいじめると可哀想なので、そろそろ和解しよう。
「うん。そろそろやめとく。ごちそうさま!」
マルティーナに再度お礼を言って、ちょこっとおしゃべり。
副団長とは仲良くできているかとか、団員たちは元気かとか、ロイからは中々得られない情報をもらいつつ、恋バナにも花を咲かせた。
ロイはいつの間にかサロンから消えていた。
夜ご飯を会話少なめに食べて、平和に一人でお風呂に入って、ベッドにダイブ。
お腹いっぱいで今日はよく眠れそうだなと思っていたら、ロイがベッドにスルッと潜り込んできた。
でっかい体格からは考えられないほどに、存在感というか気配がない。
いつも心臓が止まりそうなほどに驚いているけど、バレないようにはしている。
…………なんか、悔しいから。
「カリナ」
「ふひょい! なに?」
しまった。声が裏返った。
「いや、その……本気で怒っているとかではないんだ。怯えないでくれ」
なんだか勘違いされた。その方向性でいこう! ラッキー!
ロイは、ゲロゲロしまくって痩せ細っていく私が、本気で心配なのだと言う。
それは理解してるんだけどね。
だからこそある程度は聞き入れていたんだよね。
「ごめんねー、我慢できなくなったんだよね」
「ん。俺もすまなかった」
「じゃ、仲直りね」
ベッドの中でロイに抱きついて、チュッと軽いキス。
唇を離してニヘラッと笑うと、ロイが辛抱たまらんといったふうに、齧り付くようにキスして来た。
酸欠で死ぬかと思った。
――――欲求不満か?
次話は21時ころに投稿します。




