58:福岡県民、渋々受け取る。
えー、メンテナンスの事を完全に忘れていました。
投稿が一切できず、こんな時間になりました、ごめんなさいいぃぃぃぃぃm(_ _)m
部屋に戻りササッとベッドに入って眠ろうとしていたら、ロイが壁に埋め込まれている鍵付きの小さな金庫のようなものをガチャガチャと開けていた。
てっきり壁の飾り扱いだと思っていた。
今まで一度も開けているところを見たことがなかったから。
「その金庫、使ってたんだ?」
「ん、一応。基本的には使うことのない重要書類くらいしか入れてないから、なかなか開けないが」
「で、何しとるの?」
「ん……これ」
なんとなく見覚えのあるベルベット素材のジュエリーボックス。
あの腕輪が入っていたものとそっくり。
「受け取ってくれないか?」
ボックスをパカリと開けて差し出されたのは、やっぱり初デートの時に贈られた腕輪だった。
返品してなかったんやね、とボソリと呟いたら、ロイが困ったような顔をした。
「その、注文品だから……」
入荷依頼をした、という意味の注文でなく、デザインから宝石までオーダーした、という意味の注文だった。
だから、返品など出来ない。
しかも、相当なお金が掛かっている。
それは、この世界を勉強するようになったから、気付けたことだと思う。
以前の私なら絶対に気付かなかったはずだ。
「ごめんね」
「ん。そうか……」
ロイがしょんぼりした顔でジュエリーボックスを閉めてしまった。『ごめん』だけ言ったので拒否の方だと思ったらしい。
「あ、いや、あのとき受け取らなくてごめんね」
「っ……着けてくれるのか?」
「うん。普段使い出来そうなデザインやしね」
さっきの顔とは真逆の破顔。
空色の瞳を艶めかせ、なんとも言えない幸せそうな笑顔は…………目に沁みた。
イケメンが過ぎる。
左腕を差し出すと、ロイがにこにことしながら着けてくれた。
室内灯でキラリと輝く、美しい黄色と水色の宝石。
そんなに大きくはないのだが、どちらもダイヤモンドらしい。
それ、普段使いだめなやつじゃないの?
「ダイヤ……値段聞くのが怖いんやけど」
「はははは、気にするな」
ロイが乾いた笑いをしながら、サッと顔を逸らしてしまった。
そして、そそくさとベッドに入って目を瞑ってしまった。
「ロイ?」
「おやすみカリナ」
「ローイー?」
「ほら、早く寝ないと、明日がつらいぞ?」
お前が言うなと言いたい。
そもそも夜ご飯がこんな時間になったのは誰のせいだ。
「おやすみ、カリナ」
額にキスされ、またおやすみと言われた。
こういった感じになったロイは、ほぼ口を割らないと学んだので深追いは無意味だ。
イライラはするが、諦めが肝心。
「チッ! おやすみっ!」
とりあえず、部屋に響くほどの舌打ちはしておいた。
次話は、明日のお昼頃に投稿します。




