51:福岡県民、お土産を探す。
ロイと二人、お土産屋さんのようなところでプレゼント探し。
干し肉とかなんちゃらの話はスルーとして。
「へぇ、そうなんだー。で、貝殻の万年筆だって。綺麗やねぇ」
「あぁ。ここのは上質で有名だな」
黒鮑の貝殻を薄く薄く削って色を出しているらしい。
黒と青と紺と深い緑。テレビでみた宇宙空間のように燦めいている。
まぁ、あれはCGなんだろうけども。
一本一本柄が違うので、見比べて一番落ち着いている色合いのものを選んだ。
「副団長は、これにするー! 何か副団長っぽい」
「……ふぅん」
ロイを見上げ、万年筆を見せると、なぜか不機嫌な顔をされた。
何が気に入らなかったのだろうか。
「んん? 柄柄しすぎ?」
「カリナがアイツに似ていると思ったんだろ? それでいいんじゃないか?」
「え……っと、うん」
白い貝殻にピンク色を乗せたものもあった。
なんとなくなマルティーナ嬢にプレゼントしたい、そう思った。
お土産代は家からの予算でいいらしいが、マルティーナ嬢には自分で買いたいなぁと、思いながらお財布を出した。
所持金足りるか、という地味な心配で。
「なぜ、自分の財布を出す?」
「へ?」
「ハンスの為に、カリナが稼いだ金を使うのか?」
ちょっと待て。
なぜに副団長のためになる。
こんだけ、どピンクな万年筆が並んでいるコーナーで財布を開いているのに。
「ロイ。もっと、ちゃんと、自信もって。そういうロイ、凄くウザい!」
「っ⁉」
この男前、騎士団のトップに君臨しているくせに、異性関係にはてんで弱すぎるし、拗らせすぎている。
それがマルティーナ嬢のせいでもあり、その後のお見合いなどした女性たちのせいでもあるのかも……と思うと、軽くイラッとしてきた。
「やっぱ、マルティーナにはお土産買わない!」
「あ…………アレの為だったのか……」
「なん? 文句ある?」
「……その、マルティーナには罪はないというか、たぶん喜ぶから」
「ふぅん。マルティーナにはそういう優しさを持てるんだ?」
「っあ……ちが……」
アワアワと両手を彷徨わせて焦りだすロイを見て、ついつい笑ってしまった。
チキン過ぎたり、ネガティブ過ぎてイラッとすることはあるけれど、それでもやっぱり可愛いのがロイだなぁと思う。
「嘘。怒ってなかよ」
「本当にか? ケンカしないようにと、カリナが折れているだけじゃないのか?」
「ん? 別に。ウザいとは思ったけど」
どうやら『ウザい』はかなりの攻撃力があるらしい。
ロイが唇をギュッと噛み締めていた。
次話はお昼頃に投稿します。




