47:福岡県民、爆笑される。
予定より少し遅めの昼前にホテルを出発した。
町中でお昼を食べ、さらに隣の領地へとまたもや馬車移動。
移動手段は馬車しかないのが、ちょっとつらいところではあるけれど、ロイとくっついてお喋りできるのは楽しい。
「そー! 空飛ぶんよ!」
「意味がわからん……」
「そういうときは、『ばってんさい』の『さい』をちょっと上げ気味で、発音すると」
「ばってんさいぃ?」
「そうそう! あははは!」
「ちょっ! こらっ!」
「ん、声抑えて?」
「や、待って待って!」
「しーっ」
多少すったもんだしつつも、どうにか目的地の領地へと到着した。
ホテルの部屋で荷物の準備。
と言っても、侍女たちがやってくれるので、私たちはのんびりお茶を飲んでるだけだけど。
「奥様、水着はどれにされますか?」
薄手のワンピースを四枚広げられた。
この世界の水着はワンピースらしい。撥水性なしの。
「え……っと、紺色かな?」
透けて見えなさそうだし。
「水着姿のカリナを、人目に晒したくないんだがな……」
水着姿とは……。
現代の水着とか見せたら、卒倒しそうだなぁと思いつつ、黙ってお茶を飲んだ。
私は学んだのだ。
何を言っても、ロイを興奮させてしまい、結局エロエロに持ち込まれてしまうだけなのだと。
「カリナ……?」
「なん?」
「…………怒ってるのか?」
「ぶぅうぇっつにぃぃ」
唇を尖らせて返事をすると、なぜかロイが爆笑しだした。
なんだこんちくしょうめっ!
「うみだー!」
海である。スカイブルーとエメラルドグリーンが煌きながら混ざった、美しい海。
地元もちょっと海に近かったけれど、こんなにきれいな海じゃなかった。
何メートルも下のサンゴ礁とか見えなかった。
ボートに乗って、海の中を覗く。
南国にいるようなカラフルな魚たちが沢山泳いでいる。
「カリナ、落ちないようにな?」
「うん! みてみてみて! 真っ赤な魚!」
「ん、でかいな」
「食べれるやつ?」
「っ、はは! 何でも食べようとするな」
ウニがいたから食べれるか聞いたら笑われた。
ホタテみたいな貝がいたから食べれるか聞いても笑われた。
鯛っぽいのがいたから食べれるのか聞いたら、また笑われた。
笑われてばっかりではあるけれど、ロイが楽しそうなので許してやろう。
次話は、本日21時頃に投稿します。




