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福岡県民、方言丸出しで異世界に行ったら、言葉が通じらんかった件。 〜騎士団長に溺愛されとるのはよかけど、なんでか方言で話すごつゆわれます〜  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中
第二章:福岡県民、異世界で結婚する。

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42/86

42:福岡県民、湖畔での攻防。

 



 少し肌寒くなった夕方の湖畔。

 朱色の夕陽が水面をキラキラと輝かせている。

 二人で寄り添って座り、それを眺める。

 幸せなひととき。


「もうすぐ秋になるんやねぇ」


 この世界の貴族たちには、あまり四季の感覚がない。

 夏と冬。

 社交シーズンと、それ以外。


「秋は……実りの時期だったな」


 農業や酪農、畜産などに携わる平民たちの方が、季節の移ろいをよく見ている。


「あぁ、繁殖期とかだな?」

「き・せ・つ・の・う・つ・ろ・いっ!」

「あ……あぁ! 季節の移ろい、だな!」


 ロイの手の甲を抓みながら、眼力で嚇す。

 人のお尻を揉んだり、腰を撫でたり、とても手癖が悪い。

 しかも、爽やかな笑顔でやっているから、タチが悪い。


「新婚なんだ。可愛い奥さんといちゃいちゃしたいと思うのは、当然の欲求だろう?」

「…………笑顔が嘘くさい」


 ジトッと睨むと、怪しい笑顔を更に深めて、唇に軽いキス。

 ちゅっちゅ、何度となく啄まれて、結局は深いキスになっていく。


「部屋に、行こうか?」

「いかん!」

「ふっ……怒るな。可愛いだけだ」


 ちゅっちゅちゅっちゅ、今度は頬に瞼にと何度もキスの嵐。


「お腹が減ったと! 夜ご飯ば食べようよぉ」


 湖畔横の別荘に荷物を運んだら、夜ご飯の時間まで少し散歩しょうと言われたから、散歩に来たのだ。

 私はご飯を心待ちにしながら、散歩に来たのだ!


「っくくく! そうだったな。すまないすまない。さぁ、戻ろうか?」

「うんっ!」




 何を食べても美味しい。

 そりゃあ貴族のご飯だから、基本毎回美味しいのだけれど。

 なんとなく、特別感のあるご飯のように感じられて、いつもより美味しく感じる。


「ふむんっ! とろけるっ」

「ん。とてもクリーミーだな」


 デザートに出たプディングは更に格別だった。


「ふぁぁぁ、お腹いっぱい! 幸せ!」

「ん、ほら風呂に入ってこい」

「はーい」


 少し苦手ではあるけれど、侍女たちに手伝われながらのお風呂。

 しっかりと身体を温めて、夜着とガウンをしっかりと着込んで、寝室に戻った。


 ロイが交代でお風呂に行っている間に、ベッドに潜り込んだ。

 お布団に柔らかく包み込まれて、ウトウト。

 寝ちゃいけない、寝ちゃいけない、と考えてはいたものの、ウトウト。


 結局、ロイがお風呂に行って十分もしない内に、しっかりとお布団を掛けて、瞼を閉じて眠りについてしまった。




 ◇◆◇◆◇




「カリナ、待たせたな」

「…………」

「カリナ……」


 なんとなくではあるが、こうなりそうだとは予想していた。

 昨日も無理をさせてしまったし、今日も慣れない馬車移動が続いた。


「カリナ、お疲れさま」


 ニヘラとした笑顔で、猫のように丸くなっているカリナ。

 頬にキスをすると、少し身動いで薄目を開けた。

 起こしてしまったかと焦ったが、スウスウと可愛らしい寝息が聞こえて来た。


「おやすみ、カリナ」


 カリナの横に潜り込み、柔らかく抱きしめると、胸に擦り寄ってきた。

 これは、なかなかキツい戦いになりそうだ。


 下腹に力を入れ、深呼吸。

 今日くらいはしっかりと休ませてやらねば。

 

 ――――今日くらいはっ!




次話は、明日の朝7時頃に投稿します。

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