表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
福岡県民、方言丸出しで異世界に行ったら、言葉が通じらんかった件。 〜騎士団長に溺愛されとるのはよかけど、なんでか方言で話すごつゆわれます〜  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中
第二章:福岡県民、異世界で結婚する。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/86

40:福岡県民、全身くまなく洗う。

 



 立食パーティーも滞りなく進み、招待客の前に立って挨拶をすることになった。ロイが。


「本日は――――」


 本日は、ご多用のなか私どもの披露宴にご列席いただき、誠にありがとうございます。

 平素よりお世話になっている皆様と、このように楽しく、幸せな時間を過ごせましたこと、大変うれしく思っております。

 未熟なふたりですので、ご迷惑をおかけすることがあるかとは思います。

 皆様方には、公私にわたるご助言、ご教示を賜りますよう、よろしくお願いします――――。

 

 とても真面目だ。

 それはそうなんだけども。真面目だ。

 会場のスタッフさんたちへの感謝のあと、ロイが急にこちらを向いた。


「カリナ、俺と出逢ってくれてありがとう。家庭を築くと決心してくれてありがとう」

「ロイ……」

「俺の一生を君に捧げる」


 そっと触れるだけのキス。

 その瞬間、庭園が祝福の歓声に包まれた。

 



 ロイの屋敷に戻り、侍女たちに手伝われながらウエディングドレスを脱ぐ。

 うおぉぉぉ、やっとコルセットの締め付けから解放された! 私は自由だぁ! と、小躍りしたかった。

 なのに、捕まえられた宇宙人よろしく、両脇をがっしりと掴まれ浴室に連れて行かれた。


()()、お磨きいたします」


 今朝まではお嬢様と呼ばれていたのに。

 両手をワキワキと動かして近付いてくる侍女たちに恐怖を覚えた。が、逃げられない。


「あぁぁぁれぇぇぇ」

「……何ですか、その叫びは?」

「いや、定番かなって」


 この定番が通じなかった時の悲しみは、きっと伝わらない。


 二時間ほど掛けられ、全身ピカピカのツヤッツヤに磨き上げられた。

 なんだかいい香りのするクリームも塗りたくられた。


「なにこれ?」

「男性が興奮する作用のある、香油です」

「……はい?」

「ですから、男性が興奮する作用のある、香油です」


 ニ回言われた。大切なことだからだろうか?


「大奥様が使用するように、と」


 ――――おかぁぁぁさまぁぁぁ!


 またかと言いたい。

 なぜに、毎回これほどに、状況を悪化させるレベルのトラブルの種を、ぶち込んでくるのだろうか。

 あのロイに、興奮作用のあるものなど……私が事切れること間違いなしの展開になる予感しかしない。


 風呂場に逆戻りして、全身を石鹸でゴッシゴシと洗った。


「ふぅ! 石鹸の匂いは落ち着くわね!」

「…………そうでございますね」


 侍女たちをギロリと睨んで、同調するようにと目で伝えた。

 これが屋敷の使用人たちを采配するコツなのか⁉




 寝室のベッドの上でロイと向かい合う。


「ん…………石鹸のいい匂いがする」


 ――――よっし!




次話は、明日のお昼頃に投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ