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福岡県民、方言丸出しで異世界に行ったら、言葉が通じらんかった件。 〜騎士団長に溺愛されとるのはよかけど、なんでか方言で話すごつゆわれます〜  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中
第二章:福岡県民、異世界で結婚する。

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35/86

35:福岡県民、扱いに慣れる。

 



 結婚式を二ヶ月後に控えたある日、騎士団で公開演習が開かれた。

 式の準備は、お義母さまが全ての指揮を取ってくださっているから、私は公開演習のサポートに回ることにしていたので、会場を駆け回っている。


「カリナ様ー、こっちのテントで治療を手伝っていただけますかー?」

「ジョージ、いい加減に様付けやめてよ」

「いや、無理でしょ」


 団長と結婚することになり、様々な弊害も出た。

 ひとつは、年齢がバレた。

 驚愕し、絶叫し、ドン引きされた。

 もうひとつは、全員が様付けの敬語で話しかけてくるようになったことだ。

 地味に寂しい。が、仕方ないかとも思いはしている。


「ですわよねぇ」

「……気持ち悪い」

「「……」」


 二人でふひひひひ、と笑っていたら、副団長が現れてジロリと睨まれた。


「素が出ていますよ、夫人」

「まだ結婚してないし」

「フッ」


 鼻で笑われた。

 副団長がそのまま颯爽と去っていったが、何をしに来たんだろうか?


「副団長ですか? たぶん王族席の方に挨拶だと思いますが」


 ただ単に通りかかっただけらしい。暇か?


「いや、だから暇じゃないって…………あ」

「お、言葉遣いが戻った」

「はぁ、もお。カリナこそ、喋り方変えたじゃないか」


 ジョージが頬を膨らませてブツクサ言っている。スルーしていたら、聞き捨てならない事を言われてしまった。


「まぁ、時々カリナ語出てるけど」

「え? マジで?」

「うん」

「いつ出とるよ⁉」

「いま?」

「…………で、出てましたね」


 生まれながらにネイティブな福岡県民、転移直前までネイティブな福岡県民。

 つまりは、息をするのと同じように、方言がツルンと出るってもんだ。

 仕方ない仕方ない。


「よし、しっかりとふんどしを締め直そう!」

「フン、ドシ?」


 ――――この世界には、ふんどし無かったいね。




 ジョージと楽しくおしゃべりしつつ、救護テントで治療の手伝いをしていた。

 治療といっても、薬草で作られた軟膏を塗って、ガーゼをあてて、包帯を巻く程度だけれども。


「あぁら、こんなところにいましたのね! 下民のような格好をして、下民のようなお仕事。侯爵家には相応しくございませんことよ!」

「はいはい、お嬢様、どうやってここまで来られたんですかぁ? 関係者以外立入禁止ですよー」


 ロイの元婚約者――マルティーナ嬢の腕をがっしりと掴み、引きずり歩く。


「ちょっと! 何するのよ!」

「はいはい。煩いですよー。チャキチャキ歩いてくださいねー」


 この数ヶ月、かなりの頻度で彼女の突撃があった。

 おかげで、段々と扱い方を理解し、今ではこの程度に落ち着いている。

 私にしては優しい方だ。


「どこがよ!」

「ほら、貴族席に着きましたよ。今度抜け出したら、副団長を召喚しますからね」

「っ…………ふんっ!」


 マルティーナ嬢は、副団長がとてつもなく苦手らしい。

 その割には、ちょっと頬を赤らめてるけれども。


 ――――よくわからんなぁ。




次話は、明日のお昼頃に投稿します。

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