34:福岡県民、マッサージされる。
ロイが休みの日は、私もお休みして二人で過ごすことにしている。
たまにはちょっとベッドの中でゴロゴロ、他愛のない話をしたりもする。
「ロイって、筋肉痛になったりする?」
「ん? 稀に?」
稀にするのか。
毎日何かしら訓練したり、部屋でフンフンフンフン筋トレしたりしているけれど、そこまで筋肉は痛めつけていなかったらしい。
「なんで急に筋肉痛の話なんだ?」
「いやね、昨日カーテシーをね……」
「…………カーテシーでか?」
何だか軽やかにバカにされた気がする。
カーテシー、思ったよりも筋肉使うのに。
ポーズをキープしろとか言われたら、ぷるぷる祭りになってしまう。
「脚か?」
「うん。太股とふくらはぎぃ」
「ん。ほら俯せになれ」
「へぶっ」
仰向けだったのをペロンと引っくり返され。
大きくてゴツっとした手で、ふくらはぎの筋肉を下から上に揉んでくれた。
「んー、気持ちい……」
ゆっくりと、痛くはないけど強めで、丁度いい気持ちよさ。
ふくらはぎから太股へと移動し、しばらく経ってウトウトとしていると、ロイの手がピタリと止まった。
「カリナ……」
「んー?」
またもやペロンとひっくり返されて、前面をマッサージしてくれるのかと思った。
唇に触れる熱くて柔らかい質感のもの。
「ん、ロイ?」
「ハァ。カリナ…………しよう?」
唇をくっつけたまま、ゆったりと話す。
どうやらマッサージをしている間に興奮してしまったらしい。
相変わらず可愛い人だ。
柔らかい金色のウェーブヘアーに手を差し込み、頭を撫でる。
ロイが嬉しそうに微笑み、更にキスを繰り返してくる。
「朝から、元気やねぇ」
「カリナがそう仕向けたのかと思ったが?」
「さて、どうやろうねぇ?」
「ふっ……悪い子だな」
クスクスと笑いながら、お互いの服を脱がせ合っていく。
ロイの屋敷で暮らすようになって、暫くは別々の部屋だった。
いつからか、どのタイミングからか、二人で眠るようになり、お互いに触れるようになり、徐々に段階を踏んで、繋がりあった。
私が初めてではなかったことに、ロイは少なからず動揺はしていたけれど、それでも繋がれたことに喜びを感じてくれた。
そして、それからは徐々に身体の距離も縮まって、今日のように一日中触れ合って過ごす……なんてことも増えてきた。
「ハァハァ……明日も筋肉痛のままな気がするっちゃけど……」
「明日もまたマッサージしてやるよ」
「それ無限ループやん!」
ロイがブフッと吹き出して、大きな声で少年のように笑い出した。
――――はぁ、全く。可愛らしか人やねぇ。
次話は、本日21時頃に投稿します。




