33:福岡県民、方言で話す。
フランクさんと楽しい楽しい歴史の授業を終え、裏庭でティータイム。
自分で作ったお菓子をもりもりと食べる。
頭を使うと、甘味が欲しくなる謎。
「んんーっ! 美味しいぃぃ!」
「カリナ様っ」
エマちゃんがシーッと唇に人差し指を当てていた。
どうやら、フランクさんがこちらに向かってきているらしい。
イケジジ好きだけど、好きだけどぉ、厳しいのがなぁ……などと心の中でボヤきつつ、優雅に見えるようにカップを傾けた。
「ふむ。まぁ合格ですな」
ふひっと笑ったら、不合格だと言い直された。
途中で意見を変えるとは、何たる非道!
午後の残りの授業も何とかこなし、バフッとベッドに倒れ込んだ。
――――疲れたぁ。
脳みそがパーンしそうである。
ベッドが暖かくてふかふかで、ついウトウトとしてしまっていた。
「――――リナ、カリナ」
「ふべぁ! なんね、っいったぁぁぁ⁉」
ロイの声が聞こえて、慌てて飛び起きたら、彼に頭突きを喰らわせてしまった。
二人で軽くのた打ち回ったあと、謝った。
「久しぶりに、カリナの国の言葉を聞いた…………あまり根を詰めるなよ?」
ロイが寂しそうな笑顔でそんなことを言う。
貴族のことを学ぶようになって、方言も封印した。だけど、ロイがこんなに寂しそうにするなんて思ってもみなかった。
「二人だけのときは、しゃべるようにするたい」
「っ! ん――――」
頬を染め顔を近づけてくる。
口を軽く開いて、艶めかしく輝く舌を覗かせながら。
長くもなく短くもない、恋人同士のキスをした。
少し息を整えてから、食堂に向かった。
少し遠く感じる大きめのテーブルで二人で向かい合って食事をするのにも慣れた。
テーブルマナーは多少の基礎があったので、割と早い段階で合格はもらえた。
でも、まだ晩餐会などに参加できるレベルではないらしい。
「こういう場合はどげんすると?」
「ああ――――」
分からない時は、ロイがお手本として実践して見せてくれるので、すぐに理解できることも多くて助かっている。
「こう?」
「ん、そう。良くできたな」
にこりと笑って褒めてくれるから、嬉しくて私も自然と笑顔になる。
時々、今日みたいに疲れ果てて居眠りしてしまうこともある。
だけど、ロイと過ごすためだから、どれだけでも頑張りたいのだ。
「ん……幸せだな」
「うん! 毎日、幸せばい!」
結婚式まで、あと半年。
それまでに、見えている問題も、見えていない問題も、話せていない問題も、ちゃんと全部をクリアにしたい。
次話は、明日のお昼頃に投稿します。




