表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
福岡県民、方言丸出しで異世界に行ったら、言葉が通じらんかった件。 〜騎士団長に溺愛されとるのはよかけど、なんでか方言で話すごつゆわれます〜  作者: 笛路 @書籍・コミカライズ進行中
第二章:福岡県民、異世界で結婚する。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/86

32:福岡県民、異世界を学ぶ。

 



「カリナ、行ってくる」

「いってらっしゃい!」


 玄関ポーチでロイの頬に柔らかな口付け。

 出勤前のルーティン。

 口にすると碌なことにはならないと学んだので、頬に。

 彼が乗った馬車を見送り、屋敷内に戻る。


 結婚すると決めて、ロイが住む屋敷に引越して二ヶ月。

 貴族の事をしっかりと学ぶため、仕事は半分に減らしてもらっている。

 本当はスッパリと辞めようと思っていたのだけれど、全員に引き止められた。

 書類整理の手助けを続けてほしい、と。

 騎士さんたち、脳筋多いもんね、とか軽くディスってしまったものの、実はちょっと嬉しかった。

 

「さ! 今日も頑張るぞー!」


 両手を拳にして、天に突き上げて伸びをしていたら、後ろからクスクスと笑い声が聞こえた。

 老齢の執事――フランクさんだ。


「あ……」

「はい、頑張りましょうね?」

「ふぁい」


 基本はフランクさんが先生である。とても厳しい。




 机に突っ伏し、ドゥハァァと溜め息を吐いていると、後ろからクスクスと笑い声。

 しもた! と慌てて起き上がると、可愛らしい声が聞こえてきた。


「カリナ様、冷たいお茶でも飲まれますか?」

「エマちゃぁぁん!」


 私と変わらないくらいの身長の女の子に抱きつく。

 ロイ付きの侍女さんの娘であるエマちゃん十二歳。

 私専属の侍女をしてくれることになった。


「カリナ様、離してくださいぃ。お茶が用意できないです」

「うあぁぁ、ギャワイイィィ」


 高速で頬ずりして、プニプニほっぺに癒やされた。


「午後からはダンスの予定でしたが、大奥様にご予定が入りましたので、歴史の続きをします」


 お昼ご飯の席で、フランクさんから絶望的な報告を受けた。

 お義母さまのダンスレッスンは楽しい。

 午後いっぱいを使って、ダンス半分、おしゃべり半分なのだ。


「おやおや。そのように喜ばれると、俄然指導に力が入ってしまいそうですなぁ」


 ――――喜んどらぁぁん!


「お手柔らかに、お願い致します」


 ニコニコ好々爺の笑顔をしているが、かなりのスパルタ教師である。

 そして、向こうの世界でもこちらでも、歴史の授業は大の苦手だ。




「――――さて、ここまでで何か質問は?」

「うーん。うーん」

「眠っておられます?」

「起きてますっ。各国の特産品とかってありますよね?」

「ええ、ございますよ」


 国名や王族名を言われても、脳内に情報や国の歴史がパッと浮かんで来ない。

 特産品とかあるなら紐付けした方が覚えられそうな気がした。


「なるほど。少々お待ちくださいね」


 フランクさんがほんの少し席を外した。

 プハーッと紅茶を一気飲みしている間に戻ってきて、軽やかに怒られたのはいい。

 厚さ十センチの教材が追加されたことに絶望だ。

 机に突っ伏して再起不能になった。




次話は夜の21時頃に投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ