24:福岡県民、戸惑う。
――――なんで、こげんかこつになっとるとやか。
前々から話していた、義両親とのランチの日になった。
四人で楽しい会話で盛り上がってホッとした。
食後のティータイムには、団長の小さい頃の失敗談とか聞けて、大笑いしてしまった。
団長がまだ少年と呼べる年齢の頃の写真なども見せてもらえて、悶えたりしていた。
いつの間にか外が薄暗くなっていて、もうそんな時間なのか、そろそろ帰ろうかなんて話していたら、空から光と轟音が降ってきた。
ありえないほどの雷雨。
「少し曇っているなとは思っていたが……」
「この中を馬車で走るのは危ないわよ」
「そうだな。泊まっていきなさい」
そんな義両親の鶴の一声で、予期せぬお泊り。
団長はうんうんと激しく頷いていた。
夕食までご馳走になり、この世界、この国の事を色々と聞いた。「秘密だよ」と言われながら国王陛下のちょっとドジなお話。割と有名な話らしいので、『秘密』というほどではないらしいけれど。
「私が話した、というのがだよ」
クスクスと笑うお義父さまは、やっぱり団長とそっくりで、渋格好良かった。
楽しい夜ご飯が終わり、風呂になった。
侍女さんの入浴のお手伝いは、必死に辞退させてもらった。
いつかはそうなるのかも知れないけれど、今はまだ勇気が持てない。
異様に豪勢なお風呂から上がり、侍女さんに案内されたのは、団長の私室だった。
――――なぜに⁉
団長と部屋で二人きり。
団長も私もソワソワ。
「カリナは飲まないよな?」
団長は寝酒に赤ワインを飲むらしい。ボトルで。
チーズやナッツをつまみにしていたので、横からナッツだけもらった。
「飲まんよ。へー、この世界にも、カシューナッツあるんやねぇ」
「ということは、カリナの世界にない食べ物があったのか?」
「いんや? まだ出会ってなかばい」
なぜか団長がガッカリしていた。
異世界飯的なのに憧れでもあるんだろうか。
「いや、カリナの言い方が――――」
何かブツクサ言っているけれど、無視してナッツを頬張った。
「ん……はぁ、可愛い」
「ども」
「あぁ、可愛過ぎる。食べてもいいだろうか?」
「良くない」
――――なんで、こげんかこつになっとるとやか。
団長がベロンベロンである。
ゴンゴンゴンゴン、勢い良く飲むなぁとは思っていた。
眠たい、と急に言い出して、ベッドに引きずり込まれた。
ベッドの中で後ろ抱きにされて、心臓が破裂しそうなほどに跳ねた。……のに。
耳たぶをペロペロしたり、チューチューしたり。
永遠と耳たぶを可愛いがっている。
団長が、耳たぶを……。
どういう癖なんだろうか。
「あぁぁ、可愛いなぁ。カリナもそう思うだろう?」
――――ミリも思わん!
次話は明日のお昼頃に投稿します。




