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遭遇

【タツマ、シズナ! 危ない!】


 二人に向かって放たれた炎の弾丸を、魔本から勢いよく飛び出したライが身代わりとなって受け止めた。


「……ライ!? っ!」


 声をかけながら、辰真(たつま)は魔本刹歌(せつか)の中から刀を取り出し構える。それを横目で見ながら志修那(しずな)人造式神(じんぞうしきがみ)の一体を呼び出した。


「守っておくれよ、護連(ごれん)!」


 真剣な声色で志修那(しずな)が呼び出したのは、三角形タイプの盾型の式神だ。一メートルくらいのその式神を自身の全面に出すと彼は辰真(たつま)に向かって声をかけた。


辰真(たつま)! 敵がどこから仕掛けてるのかわからないんだ! ひとまず、護連(ごれん)の内側に入りなよ!」


「……はい」


 素直に答えると、辰真(たつま)は刀を構えたまま指示通りに入る。志修那(しずな)祓力(ふつりょく)の影響だろう、見た目以上に防御範囲は広いようだった。その中に入りながら辰真(たつま)はライとの連携が切れていないことを認識し、志修那(しずな)に耳打ちする。


「……伊鈴ノ宮(いすずのみや)先輩」


「なんだい!?」


「……後方支援は頼みます」

 

 それだけ告げると、辰真(たつま)護連(ごれん)の守りの外へと飛び出した。


「ちょお!? 辰真(たつま)ぁ~!?」


 焦った声を発する志修那(しずな)の方を見る事なく辰真(たつま)は一直線に進んで行く。そこはビルの壁だ。走る勢いを殺すことなく進むと辰真(たつま)が声を上げた。


「……ライ!」


 いつの間に合流したのか、ライが現れた。そのまま、辰真(たつま)を背に乗せると、垂直な壁を駆け上り始める。それを茫然(ぼうぜん)と見ていた志修那(しずな)が一言もらす。


「……なにあれ……」


 ****


 夜のビルを駆け上っていると、上から紅蓮の弾丸が一発、一発と放たれた。ギリギリで攻撃を()けつつ登り切れば、屋上に人影が見えた。


「うぅっ……! オレに、近寄るなぁ!!」

 

 赤い炎を両腕(りょううで)(まと)いながら、(くだん)の妖魔憑きであろう青年が叫ぶと同時に、彼の背後に別の人影が飛び上がって来た。

 月の光をバックに現れたのは、操姫刃(ときは)だった。彼女は伍掛剣(いつかのつるぎ)を大きく振りかぶって青年に向かって技を放った。


(きん)術式(じゅつしき)壱銘(いめい)斬葬(ざんそう)


 彼女が放った技を炎の壁で防ぐと青年は、挟み込む形となっている辰真(たつま)の方へと向かって炎の弾丸を放った。


「っ! 土の(つち)術式(じゅつしき)壱銘(いめい)……華盾(かしゅん)!」


 防御技を出し、炎の弾丸を防ぐ辰真(たつま)の背後から、辰真(たつま)()()()()()ライが飛び出した。


【妖魔憑きよ、覚悟!】


 ライがそのまま青年に向かって後ろ足で蹴りを入れようとする。だが、青年はギリギリでかわすと、二人と一匹から距離を取った。

 この屋上は大きな百貨店のものだからか、それなりの広さと遮蔽物(しゃへいぶつ)がある。それをうまく利用して青年が遠ざかって行く。

 その動きは軽やかで、どう見ても一般人のそれではない。

 辰真(たつま)操姫刃(ときは)は顔を見合わせると、青年の後を追った。

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