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捜索

「任務はわかった。だけどさぁ! なっんで夜に任務開始なわけ!?」


 情けない声を出す志修那(しずな)に対し、操姫刃(ときは)が冷静に告げる。


「妖魔憑きが夜しか活動しないのだから、仕方がないだろう? 諦めろ」


「うわぁぁ! なんって無慈悲な!! 何度も言うけど僕は!」


「前線向きじゃないんだよねー! わかってるよーしずなん! だからそんな大声出さんといてね?」


 楓加(ふうか)が優しい声色で言うと、そのまま辰真(たつま)の方へ視線をやる。


「それで、ライライが感じる妖魔の気配はどうなってるん? たっくん!」


 楓加(ふうか)()かれ、困惑した顔をする辰真(たつま)のかわりにライが答えた。


【今のところ、妖魔の気配はなさそうだ】


「そっかー。じゃあどうしよっかなー? みんな、なにか意見とかないかな?」


 楓加(ふうか)の言葉に反応したのは操姫刃(ときは)だった。


「おれが思うに、妖魔憑きは今のところ人気(ひとけ)のないところでしか()()()()()()()()。つまり……探すならば路地裏とかではないか?」


 彼女の言葉を受けて、辰真(たつま)がぎこちなく口を開いた。


「あの……。じゃあ、二手に分かれて路地裏を探す、とか……?」

 

「なぁんだって!? 二手!? 僕がいるのは足手まといにしかならないと思うんだけど!?」


 志修那(しずな)が大声でネガティブな発言をするので、辰真(たつま)は困惑してしまう。


(この人……なんでこんなに卑屈なんだろう……?)


 そんなことを辰真(たつま)が思っていると、楓加(ふうか)が右手を上げて進言した。


「じゃあ頼りになるライライ含めた、たっくんとしずなん、ウチとトッキーでわかれるでいいかな?」


「ま、まぁそれならいいかな……! 辰真(たつま)、ライ! 頼んだからね!?」


「あ……はい」


 話がまとまった四人は、妖魔憑きを探して二手に分かれることとなった。


 ****

 

「な、なぁ……辰真(たつま)?」


「……はい」


 街灯だけを頼りに夜の市内を歩く中で、突然志修那(しずな)が口にしたのはいがいな言葉だった。


「僕は本当に前線向きじゃないんだけどさぁ……。その、君らってどうなのさ?」


「どうって……」


 一端言葉を切り、しばらくの沈黙の後辰真(たつま)は静かに答えた。


「……戦う必要があるなら戦うだけです」


「うっ……マジかぁ……。そっかぁー」


 何故か額に手を当てる志修那(しずな)の反応を不思議に思いながらも、辰真(たつま)は前を進んで行く。元々人避けの(ふだ)を使っているとはいえ、どんどん薄暗くなっていく道に志修那(しずな)の表情が歪む。


「……ほんっとうに、嫌なんだけど……」


 一人呟く彼に声をかけようか迷って……辰真(たつま)はやめた。()()()()()()()()()()()()()()し、下手に触れて痛い目をみたくなかったからだ。


 だから、気付くのに遅れてしまった。紅蓮の炎の弾丸が迫っているのを――。

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