作戦開始
「二人とも戻って来たぁ~!! 聞いておくれよ~!! 作戦がとんでもなくてさぁぁぁぁ~!!」
辰真達が戻るなり、志修那の情けない声が響く。
「伊鈴ノ宮先輩? とんでもないって……?」
尋ねれば、等依が少し口角を上げながら口を開いた。
「半妖が核になるのなら、別の半妖をぶつければいーんスよ!」
「いやいや! そんな都合よく半妖なんているわけないでしょー!?」
叫ぶ志修那の声と激しい音が響いたのは同時だった。
「なんだ? 妖魔殺しの儀式が進んだのか……?」
操姫刃の問いに答えを出される前に、激しい音のした方向から空間に亀裂が入り、そこから……人が現れた。
「なんとか入れましたで……って等依さん!? ここになぜいたりされてたり……!?」
「やほー! おひさっスね~空飛ちゃん? いやー俺ちゃんの式神能力向上の成果が出て、ありがたい限りっスわー」
名を呼ばれた人物……空飛が首を傾げれば、等依が彼に向かって声をかけた。
「いや、空飛ちゃんの気配察知してたんで? つーわけで……妖魔殺しの儀式に介入作戦、やるっスよ~!」
「……はい?」
状況を分かっていない空飛と、作戦内容を知らない辰真達に説明がされた。
――妖魔殺しの儀式の核は、半妖が理に接続し、妖魔という概念を壊すこと。
――故に、別の半妖が接続に介入すれば……時間が稼げる。
「なるほどでございます。では、やりましょうです!」
「いや、アンタそれでいいわけ!? めちゃくちゃだよ!? っていうか、トクタイに半妖いるとか聞いてないんですけどぉぉぉぉ!!」
またしても声を張りあげ叫ぶ志修那に、空飛が朗らかに答える。
「なにせ、等依さんの作戦ですからね! 僕も気合をいれないとでございます! はい!」
(凄い信頼関係だな……。そうか……俺達も……)
「タツマ? 大丈夫か?」
ライに声をかけられ、辰真が頷き口を開く。
「やろう。世界を……救うんだ」
言い切る辰真に、操姫刃と楓加も同意を込めて頷き、それを見て志修那も諦めたのか頷いた。
「じゃー! やるっスか!」
こうして、今のEチームとかつてのEチームだった二人が動き出した。
作戦開始のために動き出す彼らの背中を、過去の人である公謐と雪原の娘が優しく見つめていた――。




