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妖魔との契約者

 辰真(たつま)の言葉に誰よりも反応したのは志修那(しずな)だった。彼は今日一番の大声を上げる。


「なぁぁぁ!? んだってぇぇぇ!? 妖魔と契約ぅ!? 退魔師なのに!?」


 騒ぐ彼の頭を操姫刃(ときは)が押さえた。


「ぐぬぅ!? な、なにを!?」


「うるさい。そこの……金髪ピアスもとい、なんだったか? お前。そう、お前の話が終わってない。だろう?」


 またも淡々と語りかける操姫刃(ときは)(うなず)くと、辰真(たつま)が続けた。


「……諸事情あって妖魔(ようま)と契約していますが、彼は味方です。間違いなく。……ライ」


 辰真(たつま)が魔本を開き床に置けば、そこから現れたのは、全身黒い体毛に覆われた四足歩行の(けもの)型の妖魔(ようま)だった。


「彼がライです。俺の……相棒です……!」


 少しだけ語気強く言えば、志修那(しずな)は視線を彷徨(さまよ)わせながらも黙ってしまった。その静寂(せいじゃく)をたやすく操姫刃(ときは)が打ち破る。


「そうか。まぁ式神(しきがみ)使いやら鬼憑(おにつ)き? だったか? そういうのもいると聞くし、おかしくはないな」


 彼女の言葉に楓加(ふうか)も同意の意味を込めてか、ライに近寄ると右手を差し出した。


「ウチ、楓加(ふうか)! よろしくね()()()()!」


【ライ……ライ? まぁその、なんだ。ワタシとタツマ、共によろしく頼む】


 楓加(ふうか)のフレンドリーさに困惑しながらも、ライは差し出された手を舐めた。その絵面(えづら)を見つめながら、辰真(たつま)は思う。


退魔師(たいまし)になったけど……この先、何を()せばいいんだろう……)


 ****


 自己紹介を終えた四人は、男女に分かれて更衣室へと入って行った。隊服に着替えるためだ。一緒に入ってすぐに、志修那(しずな)辰真(たつま)から距離を取り、一番奥のロッカーに手を伸ばした。


「先に言っておくけど、僕は怖がりでもあるんだ! だから慣れるまでは! 僕に近寄るなよ! 慣れるまで!!」


(……一応、順応しようとしてはくれているのか……?)


 そんなことを思いつつ、辰真(たつま)は一番扉側のロッカーに手を伸ばし、隊服に素早く着替えると、少し距離を開けて男子更衣室を出た。

 しばらくして、女子更衣室から操姫刃(ときは)楓加(ふうか)も出て来た。楓加(ふうか)がスカートで、操姫刃(ときは)がスラックスだった。


「ジェンダーレスな世の中だしな、スラックスでも不思議ではないが……えっと初架(はつか)? 君、僕なんか足元にも及ばないイケメンと化してないか!?」


 志修那(しずな)の言葉に操姫刃ときはが相変わらず淡々とした態度で返事をする。


「知らん。おれは動きやすさを選んだだけなのでな」


 そんな彼女に対してかは不明だが、着替え終わるのを待っていた和沙(かずさ)がゆっくりと口を開いた。


「……服装に関しては、()()()()()()からの苦情などからの判断。気にしないこと」


 そう言われてしまえば、全員黙らざるを得なくなる。なお、ライは再び魔本の中だ。


 そんな四人に向かって、和沙(かずさ)が告げる。


「では、これより室内の設営と各々(おのおの)能力把握テストについて説明するから。心して聞くように」

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