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14:魔法についてのお勉強


「ギルバート様、私って魔力あるんですか?」

「…この地に住まう全ての人類は、すべからく魔力を持って生まれてくる」

「え、でも、魔法を使えるのは国民の半分くらいって、前に……」


ふむ、とひとつ頷いたギルバート様は私をソファーまで促しその隣に腰掛けた。


「ツバキ、魔法についての勉強をしよう」




全ての人類は魔力を持っている。その魔力は体内を巡る血液と共に、人の身体を流れている。しかしここで間違えていけないのは、魔力を持つからといって魔法が使えるわけではないという事だ。

これがどういうことなのかと言うと、


「魔力は体内を巡っている。しかし、それを体外に放出するのは、基本出来ないんだ」

「…放出するっていうのが、いわゆる”魔法を使う”ってことですか?」


彼は頷いて肯定する。

魔力を持ってるんだから魔法使えるだろ、と思っていたのがそもそもの間違いだったって訳ね…。


「魔法を使うというのは、己の魔力を媒体に、理に干渉したり具現化することを指している。炎属性の持ち主なら火を出す、水属性なら水を出す、風属性なら風を操る……光属性の治癒などは、属性をもつ者の魔力を使い他者の治癒能力に働きかける、といった具合だな」


うん、それはまぁ何となくわかる。The・異世界って感じで。

自分の魔力を使って魔法現象を起こすってことだよね?その現象を起こすために必要なのが呪文…というか詠唱?魔力は魂と声に宿るらしいから、それを表に出すには何らかの手順が必要。で、その手順が詠唱ってことね。

私が「魔力持ってる人は全員魔法を使える」って勘違いしてたのは、魔力持ってる人が詠唱したら無条件で魔法が発動するって思ってたから。…あと、魔力自体は皆持ってるって知らなかったから。うっかり廊下で「私って魔力あるの?」とか聞かなくてよかった……質問したのはギルバート様の執務室に入ってからだからセーフです。


「本来、魔力は体内に留まっているが、魔力量が一定以上ある者であれば放出…魔法を使うことが出来る」


魔力量が多い者でなければ、魔法を使う前に己自身に使われて余剰分ができない。魔法使い達が使っているのはこの余剰分の魔力だ。生命活動を維持するのに最低限必要なのがコップ一杯くらいだとすれば、その倍以上の魔力を持っていないと魔法は使えない…使えたとしてもショボい魔法しか使えなかったりうっかり魔力を使いすぎたりして危険。

でも魔法が使えるってだけですごい!ってなるのでは?と思ったら、「そよ風程度の魔法を使って倒れてしまっては意味がないだろう?扇子の方が使える」と言われてなるほどな~と思った。

ある程度の強さの魔法が使えないと尊敬の対象にはならないようだ。


「国民の半数が魔法を使えるというのは、魔力が一定以上ある者が国民全体の半分だという事だな」

「その一定以上の魔力を持っているかってどうやって調べるんですか?」

「魔力感知の出来る者なら分かる。周りにそういった人が居なければ神殿だな」


魔力感知は魔法騎士のほとんどと宮廷魔導士さんたちは出来るそうだ。この2つは魔法のプロフェッショナルだからむしろ出来ない人の方が少ないらしい。とは言ってもこれは第六感的なセンスが光るスキルのようなので、出来ない人は本当に出来ないみたいだ。


神殿には触れた人の魔力量が分かる石板があって、7歳前後の子供が洗礼を受けに来た時に調べている。そこで一定以上の魔力を持っている、もしくは成長したら一定以上になりそう、って子には王立の学園に入るよう勧めるらしい。魔力制御の勉強のために。これは前にもちらっと聞いたんだけど、魔法は確かに便利だし強い魔法が使えるっていうのは貴族的にいいステータスになるんだけど、コントロールできなかったらただの脅威にしかならないからね。そして、その王立の学園だけど、通っているのはほとんど貴族。それも仕方ない話で、魔力量は遺伝するから魔力の多い人が特権階級である貴族になったり婚姻で貴族に取り込まれたりした結果、この国で魔法が使えるほど魔力を持った人がほとんど貴族で占められるようになったからだ。

ついでに言うと魔力量が多い人は何でか知らないけど大体は美男美女だってさ。分かる、魔法騎士達って皆顔面偏差値高いよね。


閑話休題。


「それで、私はこっち生まれじゃないんですけど、魔力はどのくらいあるんでしょうか?」

「分からない」

「えっ」


分からない。渋い顔でそう言ったギルバート様は、私の鳩尾あたりをじっと見つめてため息を吐いた。

人間の腹の真ん中あたりには魔力が溜まっている器のようなものがあるらしい。その器は生まれ持ったものなので身体の成長と共に多少は大きくなるけど、それ以外で大きさが変わることは基本ないらしい。…基本、ということは例外があるんですね、多分。

で、私の魔力の器なんだけど、そもそも無いみたい…?見つからない、らしい。

血液と一緒に流れている最低限の魔力はあるらしいんだけど、それを溜める器が無い状態なのは初めて見るからよく分からないと言われてしまった。最低限っていうのは本当に生命活動がギリギリできるくらいの量で、それがどの位かって言うとベッド上で絶対安静を言い渡されるレベル、らしい。「お前がなぜ普通に過ごせているのか分からない」とか言われても私も分からないです……。

もともとこっち(異世界)の人間じゃないし器が無いのはおかしくない。でも、それならばなぜ魔力はあるのかって疑問は残る。地球人、実は微量の魔力持ってる説……なんちゃって。

ともあれ、だ。今の所具合が悪いとか体調が悪いとかは特にないし私自身いつも通り普通に過ごせていると思っているけど、いつぶっ倒れてもおかしくない状態だってことは分かった。

……もしかして「何かあった時にすぐ対応できるよう傍にいてほしい」って言葉の意味そのまんまだった?てっきり問題行動起こす(かもしれない)からその対応って意味だと思ってたけど。

私が知らなかっただけでギルバート様は色々考えてたみたいだし、心配をおかけしていたみたいです。ありがとうございます。


じゃあ一緒に来た絵里奈はどうなんだろうか。


「ちなみに絵里奈は…?」

「エリナ殿は歴代の聖女に比べて、そこそこの魔力を持っているようだな」


どうやら絵里奈には魔力を溜める器もあるし魔法も使える位魔力があるようで訓練を始めているらしい。あっちも順調に日々を過ごしているようだ。一安心。

あ、そうそう、絵里奈は無事にこの国の聖女として認められたって。第10代目聖女様。お披露目会とかは絵里奈が魔法を安定して使えるようになってからやるみたい。パレードとかもするのかな?どうなんだろう?

ちなみに絵里奈と会うことは出来ないのか聞いてみたんだけど、絵里奈は今この国の歴史とかマナーとか魔法の勉強とかを詰め込みでやってて時間が取れないってのと、大体いつも第一王子殿下が居るから会うのは難しいってことだった。

あー……確かにそれはちょっと…絵里奈には会いたいけどセットで第一王子殿下が居るのはなぁ…。

なんか、今の殿下は「聖女エリナ様しか勝たん!」みたいな厄介な状態になってるみたいでですね………「昔はあれほど馬鹿ではなかったんだが…」とかギルバート様が呟いてたのは聞かなかったことにします。




魔法についての説明は今後追加したり変更したりするかもしれません……ご了承くださいませ

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