第八話:人を見た目で判断するな
始まりの町の隣の野原、そこには低級モンスターがよくわいている。
そのスライムを狩るために、俺たち三人はやってきた。
装備は、俺の短剣、ミルはリュックを持ち、そしてショコラは杖を持っている。
「ショコラは魔法が得意なのか?」
「いえ、全然ですよ」
謙遜なのだろうか、真面目そうないい子だ。
さて、歩いていると早速スライムを見つけた。
「よし、あのスライムを狩るぞ!」
「やります!」
「私はそこで見てるから頑張ってー」
「って、お前もなんかやれよ!!」
ミルは、気づくとパラソルを開いて、その下で弁当と共にお茶していた。
そのためのでかいリュックか。
「ミル、本当に大丈夫ですか?」
「あ、あぁあいつはここぞというとき担当なんだ。最終兵器的な」
「そうなんですね、とりあえずやっちゃいましょう!」
スライムに向かって、短剣を構える。
ショコラは杖をスライムに向けている。
「ロック、やらないんですか?」
「…………」
やばい、足ががくがくしてる。
そういえば、意気揚々と来たが、俺はモンスターと戦うことは試験を除けば初めてだ。
スライム相手に震えてるとか、恥ずかしすぎる!
「よし、ショコラ、お前の実力を見せてくれ」
「……? わかりました、やりますよ!」
ここは、それっぽく取り繕ってみた。
後ろでミルが笑ってるのが腹立つ。
ショコラは、杖を構え、そして体制をとる。
いったいどんな魔法が見れるのか期待していると――――
「加速っ!!」
ショコラがそういうと、足が少し早くなり、そして……
「おりゃあ!」
杖でスライムをぶん殴った。
文字通り、杖を鈍器として扱っているのだ。
「やりましたよ! 見ていましたか!」
「……お前、魔法使いじゃないのか?」
「……私は格闘家です」
「……」
「……」
「――――わかりづらすぎるだろ!! なんで杖持ってんだよ! なんで魔導士のローブ着てんだよ!!」
「いやー、魔法使いのほうがパーティに入りやすいかと思ってテヘペロ」
「テヘペロじゃねえよ!だまされたわ!」
「あ、解雇とかだめですからね! 終身雇用ですから! ちゃんと聞かなかったロックが悪いんですよ!」
うーん、だけど正直俺も怒れる立場ではないことは確かだ。
まあ、戦えるならそれでよし。そう思うとしよう。
「ぎ、ぎいやああああ!」
「ミル! どうした!」
突如、後ろでお茶をしていたミルが悲鳴を上げる。
急いでミルの元へ向かうと、何かから逃げ回っていた。
「スライムが! スライムが追ってくるぅうう!!」
「……」
「……あの、ミルは最終兵器なのでは?」
「うん……ほっとこうか」