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第六話:ちょろいん一号


「……だから、お前はクビだって!」

「なんでですか! この私がいるから勇者パーティは成り立っているんでしょう!?」

「いや、どう考えてもいらないから。なんで雇ったのか過去の自分を殴りたい」


 なんだなんだ。街中で言い争ってるパーティがいる。

 あれ、なんか見たことある奴いるな。

 いや、あの顔見てたら思い出してきた。忘れもしない、ギルド試験の時に出会ったあいつだ。


「ケンジ様のパーティに無能はいらないのよ!」

「そうよ、『足が速くなる』とかいうどうでもいいスキル使い道がなさすぎなのよ!」


 ササキケンジ、国の勇者だ。この街に帰ってきていたのか。

 話の様子を見ているとどうやら、パーティの一人がクビにされそうだとのこと。

 二人の美人なエルフから追及を受けている、魔法使いらしい黒髪の少女。見た目年齢だと、まだそんなに年もいってないんじゃなかろうか。ケンジの野郎、パーティまで美人ハーレムかよ腹立つな。


「ということだから、じゃあなショコラ」

「待ってください! ほんとに置いてくんですか! 終身雇用では!?」

「そんな制度は取り入れてないよ、まあがんばれよ」


 そういって、ショコラと呼ばれた少女を置いてケンジ一行はどこかへ行ってしまう。

 町の人々も、見物を終えたのかパラパラと散っていく。

 勇者パーティに入っても大変なんだな。


「なに私見てるんですか……同情するならお金か雇用をください」


 俺が彼女を見て物思いにふけっていると、そんな言葉が飛んでくる。


「いや、俺も他人の事言えたもんじゃないしな」

「はあ……これじゃ明日食べていくお金すら……」

「……ん?」


 そういえば、この少女、雇用をくれとか言ってたな。

 もしかしたら、ちょうどいい人材見つけたかもしれない。勇者パーティにいたなら、多少は使えるだろう。少なくともミルよりかは。


「ショコラって言ったか?」

「はい、そうですけど…」

「あんなくそ野郎とパーティ組んでてもしょうがないぞ、逆に別れられてよかったと思え」

「そうですよね!? 私の才能を正当に評価できないなんて、勇者失格ですよほんと!」

「ああ、あいつはクソだ。調子乗りまくってやがる」

「あなたは中々話が分かるみたいですね!」

「そういえば、俺はちょうどパーティメンバー探してるとこなんだ」

「そうなんですか!?」

「それに、俺のパーティは終身雇用だってしてる」

「な……なんですって!?」


 さっきまで消沈していた少女の目つきが変わる。

 頭のアホ毛もぴんぴんし始めた。


「どうだ、パーティに入るか?」

「終身雇用はほんとなんですね!?」

「もちろんだ、ギルドでちゃんと契約する」

「それならぜひお願いします!!」

「よし、それならメンバーを紹介するからギルドまで行こう」

「そういえば、あなたのお名前は?」

「俺はロックだ、よろしくな」

「はい!」


 めっちゃちょろかった。

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