第十七話:自然に生える機械とか冷静に考えたら有り得ないわ
「もう、散々な目に合ったわ!」
日が落ち、真っ暗になった森の中で焚火を囲いながらミルが文句を言う。
ミルの体は、擦り傷まみれだが元気そうだ。
「迷っちゃいましたしね……今夜は野宿するしかなさそうです」
「不甲斐ない……私がいながら」
「クリス、元からお前にそんなに期待はしてなかったよ」
ベアーマックマンから逃げるため、必死に走っていたら、迷ってしまっていた。
相当遠くまで来たような気がするが、一体どこらへんだろうか。日が出たら周辺探索だな。
「だが、これでミッション達成だ」
「やりましたね!」
「ううー、だから私はやりたくなかったのに」
今回のミッションは、調査だけ。つまり、これでミッション完了だ。
あとは無事に帰るだけだ。逃げ帰るのは、俺たちの一番の特技だからな。
「わり、俺ちょっと小便してくるわ」
「森の自然を小汚いもので汚さないでよねー」
緊張からの開放か、尿意を催してきた。ミルの文句を背に、木々が生い茂るほうへ向かう。
いい感じの枯れ木があったので、そこに俺の栄養素を存分に注いでやった。
「ふぅー」
「ふぅー」
「……誰!?」
小便中、知らない人間が急に現れるのが最も怖い。
そして、それが今起こっているのだ。
俺がナニを急いでしまいながら声のする方へ視線を向けると、そこにはがたいのいいおっさん。
「おう、邪魔したか……って見たことある兄ちゃんだな」
「あんたは、パチンコ屋のおっさん!!」
そこにいたのは、俺とミル、ついでにクリスもお金を搾り取られたあのお店の店員だ。
「それにしても、なんでこの場所に?」
「ああ、それは企業秘密なんだが……」
おっさんは俺のことを隅々までじろじろ見てくる。
「まあ、お前に言っても問題ないか」
「え、いまなんか馬鹿にされた気がする!」
「うちの主力商品、パチンコなるものを仕入れにきたんだよ」
「仕入? あの機械は、自然に生えてくるのか?」
「んなわけねえだろ、ここに行商人が来てるんだよ」
へえ、こんなところで商売しているなんて、やはりあまり表に出せないような商売なんだろうな。
まあ変な犯罪に巻き込まれても困るし、どうでもいいだろう。
「じゃ、兄ちゃん気を付けて戻れよ」
「おっちゃんも、変なモンスターいるから気をつけろよー」
そういって俺たちは別れ、俺は焚火のところへ戻ってきた。
「ロック!遅いからお肉焦げちゃったわよ!」
「いやそんなことより、さっきそこでパチンコのおっちゃんに会ってな」
焦げた肉のパサパサ感を味わいながら、さっき起きた話をする。
「ってことらしいぜ」
「ふむ、あの外道な商売人らしい場所だな」
「外道っていう割にクリスもハマってたけどな」
「それで、そのおっちゃんはどうしたの?」
ミルが神妙な面持ちで聞いてくる。
「いや、普通に別れたけど」
「……いますぐ追いかけるわよ」
「へ?」
「今すぐ追いかけて、私たちもパチンコ屋始めるわよ!!」
相変わらず更新遅くて申し訳ないです。
もうちょいやる気と時間できたらやります。




