表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/18

第十五話:ケンタウルス同士がレース中に殴り合ったりするらしい


「差せ!差せ!」

「逃げてー!私の給料と共に逃げてー!」


 盛り上がる会場。

 人々の熱い視線が、場内を走るケンタウルスに向けられる。


「差せ、差せ、よっしゃああああ!」 

「あああああああああ!!」


 俺が強くこぶしを天に掲げると同時に、隣にいたミルが崩れ落ちる。


「ほれ見ろ!3-7-2だって言っただろ!」

「私の給料……全部溶けた……」

「まー落ち込むな、今夜の飯くらい奢ってやるよ、ハッハッハ」

「やっぱりここにいましたね、二人とも」


 俺たちが盛り上がっていると、一人だけ冷静な人間がやってきていた。


「どうしたショコラ、お前も飯食うか?」

「ショコラー、お金貸してぇええ」

「違いますよ! 昨日言ってたあれはどうするんですか!」


 ん、なんか言ってたっけか。

 

「Cランクの任務を受注する話!」

「あーそんなこと言ったっけ、そうだったか」

「そうですよ、昨日ロックが同行できなかったから、今日Cランク受注しようって話したじゃないですか!」


 あーそんなこと言ってたかもしれない。

 あの時は、ルイスに話を聞いてモチベーションがぐんぐん上がってたからな。その勢いで。


「まー今度にしないか? 今日は競馬でこんなに稼いだんだから」

「いえ今日行くわよ! 負けた分を労働で取り返すのよ!」

「その意気ですミル! 受注しに行きましょう!」


********


「はい、Cランク任務『マウス山に現れた謎の生物の探索』ですね」


 今回受注するのは、近くにあるマウス山の麓に現れた正体不明の生物の調査。

 痕跡を見つければ7000バル、正体を確認すれば1万5000バルだ。


「こちらの任務、ソロで受注している方もいるので、同行されたらいかがでしょうか?」

「えー、報酬分け前取られるじゃない」

「その方はAランク冒険者ですので、心強いかと」


 ギルドのお姉さんがそんなおススメをしてくる。

 確かに、正体不明な以上、危険度も高い。俺たちのような底辺じゃ不安ということだろう。


「それじゃ、お願いします」

「ちょっとロック、分け前減るわよ!」

「もしかしたら確認だけじゃなく討伐できるかもしれないだろ、棚ぼたもあるかもしれん」

「それでは、少々お待ちください」


 ギルドのお姉さんは、どうやらAランク冒険者を呼びに行ったようだ。


「でも、Aランク冒険者となんて、緊張しますね」

「そうだな、でもショコラはケンジともパーティ一緒だったろ?」

「ま、まああの時はまともに任務もこなしてなかったので」


 お互いに頭を抱える。まあそうだと思っていたけど。


「お待たせしました、この方が同行する冒険者です」


 ギルドのお姉さんが、冒険者を連れてきた。


「Aランク冒険者、クリスだ。よろしく頼む」


 その冒険者は、女騎士だった。高そうな純白の鎧と一つに括られた長い金髪。背中には大剣が携えられている。

 それだけなら、俺も喜んで仲間にしただろう。

 だが、俺とミルはこの女騎士を知っていた。


「あ、あんた……」

「あの時の……」

「ん、君達じゃないか、縁があるな」


 そう、この女騎士と、俺たちは数日前に出会っていた。


「あれ、ミルとロック、この方とお知り合いなんですか?」

「ああ、数日前、この二人が悪漢に襲われるとこに遭遇してな」


 あの時、共にパチンコで裏に連れてかれた時に、靴を舐めて許されたあの人だった。


「なるほど、助けられたんですね!さすが女騎士さん!私はショコラといいます!」

「ああ、よろしく頼む」

「ほら、ミルとロックも挨拶してください!」


 まさか、こんな得体のしれない人物と臨時とはいえパーティを組むなんて。

 いったい、どうなっちまうんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ