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葬送の転廻者ーウロボロスー  作者: マシュマロ
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眩しすぎる優しさと引き換えに

 時を遡ることおよそ四年。人類が文明を発達し続けては戦争を繰り返すという何とも皮肉な運命を、終わらせることができた。否、出来てしまった。

 神々と人間と悪魔達の、果てしなく続く争い。それを、最終種族完全戦争ラグナロクと誰もが知らなければいけない最大にして最後の戦争。


 グランはこの時、弱冠十六にして全ての神を率いる者として、挑んだ。

彼についてきた神は、およそ百柱。その中でも、最も彼に付き従う六柱を真冠六闘神グランドセスタリオンと呼ばれる者が戦況を変えてしまう程の実力を持っている。炎神シヴァ霊装コードを持つ青年、カルム・エクタス、氷狼フェンリルの霊装を持つスレイ・マクティス、潔風神アルテミスの霊装を持つレティシア・プラーシェ、雷鎚神トールの霊装を持つゴーシュ・ヘカトル、

水星姫アンドロメダの霊装を持つシャーリィ・ハプティナ、地皇女ガイアの霊装を持つエルシア・フォルガート。


 カルムは銀に近い白髪に褐色の肌を持ち、瞳は明るい朱色。考えることが苦手。

 スレイは紺色の髪で白人、左目に眼帯を着けているが鋭く、藍色の瞳を持つ。射撃の名手でもある。

 ゴーシュは浅黒い肌をしており、かなりムキムキで、髪は短くオールバックで金、瞳も金でいかにも暑苦しい感じがする。趣味は筋トレ。

 シャーリィは深い青髪に空色の瞳、背丈は一番低いがかなりの怪力で、ゴーシュですら瞬殺出来るほど。回復魔法を得意とする心優しい少女である。

 エルシアは金糸雀色(かなりあいろ)のワンサイドテールで巻いており、抜群のプロポーションの持ち主。レティシアとくっついているグランの幼なじみで今でもアタックしているとか。仲は良好だがちょくちょく喧嘩する。


 彼らと対等の実力者は悪魔軍にはルシファーが、人間には、北欧の竜殺し《シグルド》の霊装を持つディランという青年の二人しか候補に挙がらない程の差がある。


 この戦争に未来は訪れず、滅亡するしかないと言われていたが、それを覆したのは、グランただ一人だった。いや、真冠六闘神とグランだ。


 神には、「神器」《ヴァーミリオン》があり、それは本人の強い意思によって具現化されると言われている。

 カルムは数本のナイフ、スレイは二丁拳銃、レティシアは弓、ゴーシュは金槌、シャーリィは鎖、エルシアは槍と、それぞれの個性や神話になぞらえた武器になり、名前も付けられている。


カルムの炎短剣エルベスク、スレイの氷銃ルプスオブヘイル、レティシアの風弓アトモスフィア、ゴーシュの雷槌ミョルニル、シャーリィの水鎖グランドネビュラ、エルシアの地槍ニルヴァーナ

そしてグランの光闇剣レーヴァテイン


 この時代の人間は、神によって造られたもの、神造兵器ガルガンチュアが世界各地に流通され、それを自分達の武器として利用してしまっているため、神といえど、人間を葬り去るにはかなり骨が折れた。


 悪魔は人間に肩入れする者が多いが、それでも全体のおよそ三割程度でしかなかった。残りの七割はというと、実は悪魔といってもほとんが堕天使で、神に復讐を誓った者がほとんどだった。

 しかし、それはゼウスが彼らを堕天させたとはいえ、今の神を束ねるグランにとって、堕天使はただ敵と認めることしか出来なかった。


 本来ならばグランは元の地位に戻すことはできないが共存することは可能だと考えている。元々、争うこと、何より血を流すことだけは生涯に一度もやりたくないほどで、他の神からは甘すぎると思われても仕方がない。が、神々も元より戦争などしたいと誰も思わない。なぜならば、彼らは長い年月を過ごしてきたとともに、

戦争でどれだけ血を流そうとも、無駄にならないこともあるが無駄になることの方がとてつもなく大きい。簡単に言うと、デメリットでしかないと考えている。


 この戦争は今までにない激しさがあり、見たもの聞いたもの全てがおかしくなってしまいそうだったという。

 そんな最大規模の戦争をたった七日で終結させたのは、他でもないグランだ。


 彼は誰一人として死なせるわけにはいかないと、心に決めて出会った敵を葬ることなく、無力化することができた。そのお陰か、戦争終結後には彼を救世主だの生きた伝説だのと、持て囃されるようになった。戦死者はというと、全軍合わせてもおよそ一万で、そのほとんどは人間である。


 神と悪魔、そして人間はお互いに不可侵条約を締結し、武器の使用及び保持することを禁じた。だが、神々が持つ神器の具現化は、ある意味で魔法に近く、ある意味で兵器ではないのでこれだけは例外という形になってしまったりと、若干不平等にも感じるが、そもそも神の住まう国は、空の遥か彼方にあるので使者を送り出すためには、彼らに門を作ってもらう必要があった。


 だが、この戦争のせいで、グランの心は深く傷つき、人間から距離をとるようになってしまった。実はこの戦争の発端は紛れもなく人間たちで、流血を嫌というほど見せられた彼は「血液恐怖症」に一時期とはいえ発症してしまい、中々克服することができないということに、皆は焦燥感に駆られた。


 必死の看病の結果、克服することには成功したものの、人間に対する不信感が日に日に増幅していき、彼らに対して殺意を覚えてしまった。


 人間の傲慢さに、腹を立てたのは神々、というよりは悪魔たちで、敵とはいえ自分たちの命を救ってくれた存在をないがしろにするなとデモが勃発してしまう始末に。良くも悪くもグランの力が全てを変えた。それと同時に「心」という今を生きる者にとってとても大切なものを壊されてしまった。


 それ以降、彼は人が変わったかのような雰囲気を放つようになってしまった。

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