02話『支度』
更新遅れてしまって申し訳ございません。
言い訳になりますが自分まだ中学三年生で受験生ですのでこれから忙し時期に突入すると思います。それで気長に待って下さると助かります。
それではどうぞ。
「ただいま」
俺とアリサ(父と母)の家には料理をする台所と卓袱台が1つ、部屋が2つあるだけで必要最低限の物しか家には置かれていない。ほんとつまんねえ家だなと改めて思う。
「ねぇねぇお兄ちゃん。現時点で家に居るのは私とお兄ちゃんだけだよ?」
振り向くと不思議そうな顔で俺の顔を覗き込むアリサが居た。確かに誰も居ない家に「ただいま」と言うのはおかしいだろう。
だが分かる奴には分かるはずだ。誰も居ない家、だが反射的に「ただいま」と言いたくなる衝動。
決して親が居ると思って言った訳ではない。
自分の子を放置する様な親に言うぐらいなら口を縫い合わせた方がずっとマシだ。
「気にするな、それより親父遅いな」
「まだ村長の家で飲んでるのかな?」
すでに辺り一帯は暗くなりランプを点けないと見えないほどになっていた。時間的にも身体的にもこれ以上はやめといた方がいいだろう。
体調が悪化して迷宮に行けなくなる、なんて事は一番最悪だ。せっかく出来た暇つぶしなんだ。万全の状態で行きたいに決まっている。
「...はぁ。アリサ、寝るぞ」
「え?待たなくて良いの?」
良くはないんだがな。もしもの時の為に親父と話をして起きたかったが、こんなに待っても帰って来ないとなると村長の家で酔いつぶれて寝ているか、単に泊まっているかのどっちかだろうな。
「体調崩したら明日行けねえだろ?」
「お兄ちゃんがそう言うなら...おやすみ〜」
そう言ってアリサは寝てしまった。相変わらず寝顔が可愛い奴だ。アリサは寝てしまったが俺はまだ寝るわけにはいかない。
迷宮がどういった建物か分からないが、何処に行くにも食料は必要だ。
「よし、準備するか」
そう考えていた時、別の考えが俺の頭をよぎった。「そもそも準備する必要なくね?」と。
森に生息している魔獣を狩れば食料は手に入るし、飲料水は森の中にある川から汲めば大丈夫だろう。だが1つ懸念している事がある。
この俺カズキは狩りの仕方が分からないのだ。
...まぁ何とかなるだろ。水を汲む物は...どうしようかな。盗むのは駄目だ。作るにも技術がない。
俺が作れるものと言ったら縫い包みぐらいだ。
教会の連中に頼むにも教会の中にさえ入れてもらえないだろう。勧誘は何故か女性だけだしな。アリサも15歳になったら教会の連中から勧誘がくるだろうな。
と言ってもアリサは宗教とかに興味は無さそうだしな。前に聞いた時は「宗教に入るとお兄ちゃんと一緒にいれる時間が減っちゃうじゃん!」とか怒ってたし問題は無いだろう。
...とりあえずコップだけ持ってくか。水を汲む物があれば飲めはするし。とりまこんなもんだろ。後は知らん。どうにかなるだろうし...寝るか。
「...んぁ?もう朝か」
目が覚めて最初に映った光景は俺の左腕を抱き枕にして寝ているパジャマ姿のアリサだった。涎を垂らしながらも幸せそうに寝ているアリサは周りの奴らから見たら天使であろう。
「おい、アリサ起きろ。もう朝だぞ」
「ふぁ〜...もう朝なの?」
親が家に居ない以上、炊事ができるのは兄である俺だけなわけで、アリサが作る料理は規制がかかるくらいヤバイ。
「お兄ちゃん?ご飯作らないの?」
「あぁ、迷宮は森の中にあるんだろ?ついでに朝食も森の中でとろうかなってな」
偶に森で食う飯も美味そうだし、アリサも「魚の塩焼き食べてみた〜い!」って前言ってたしな。
俺は台所から包丁を手に取った後包帯でぐるぐる巻きにし、刃に触れても大丈夫かどうか確認した後、家にあった革製のリュックに塩と裁縫セット、包丁を入れアリサと共にその場を後にした。