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第六章12  『routeW 20』

 夕方。

 対策本部となったはずの探偵事務所和室で俺ばっかりが思考を巡らし、来るべき時を待っていると、鈴ちゃんが凪に言った。

「先輩、そろそろじゃないですか?」

「ああ。そうだね」

 凪はそう言って、俺を見た。

「うん。行こう」

「いまからなら、余裕を持って六時に学校まで行けるわね」

 俺と逸美ちゃんが立ち上がり、凪と鈴ちゃんもそれに倣った。

 探偵事務所を出て、俺は顔を上げる。

「論理は組み上げた。論理だけで人の気持ちを動かせるかなんてわからないけど、探偵として、やるしかないんだ。俺が全部終わらせる」

 決着だ。


 そして、約束の時間の五分前。

 校庭脇。

 部活動に勤しむ野球部以外はもうほとんどの部活が帰っていた。

 今日は終業式で午後から部活動もし放題だったから、いつも練習時間が比較的長い野球部以外は帰っていても不思議じゃない。

 このまま練習を続けるだろうかと思っていると、野球部も校庭のならしを始めたので、すぐに引き上げるだろう。

 じきに、学校に残っているのは一部の職員だけになる。

 夕日が落ちかけていたそんな場所で、俺と凪と逸美ちゃんと鈴ちゃんの四人が待っていると、二人の少女がやってきた。

 それぞれ別の方向からだ。

「やあ。二人共」

 その二人どちらをも知っている凪は、フランクに、しかしクールに挨拶した。

 示し合わせたように二人が同時に俺たちの前に到着して、

「お待たせしてしまったようですね。すみません」

 二人のうちの片方――浅野前まひるが、赤いリボンを揺らめかせ、小さく会釈した。

「それで、どんな料簡だ? 開よ」

 と、もうひとりの少女――蒲生郷里が、俺たちから一定の距離を保って、問いを俺へと向けた。

 俺は二人を順番に一瞥して、目を閉じ、言った。

「さて。今回の連続放火事件について、依頼人であるお二人にお話しましょう。聞いてくれますか?」


 浅野前さんと郷ちゃん。

 依頼人でもあった二人は、静かにうなずいた。

「はい。どうぞ」

「頼んだ。開」

 うん、と俺はうなずく。

 それから、野球部員たちに目を向けた。

 六人も集まった俺たちに、野球部はわずかに気にした素振りを見せたが、もう帰るところだったから、わざわざこっちにやって来る者も何事かと見る者もいない。

 夕陽に染まる校庭に占有者がいなくなったので、俺は歩き出す。

「まずは校庭に移動しましょう」

 俺の後ろを五人が続く。

 校庭の真ん中まで来たところで、俺は足を止めた。

 広い校庭には俺たち六人がぽつんといるだけだ。

 この時期のこの時間、誰もいない他に誰もいない校庭は、余計に涼しかった。

 話すべき内容は、すでに探偵事務所で何度も頭の中で反芻していたから、いまさら整理するまでもなく口を開く。

「まずは、事件の結果からいきましょう。犯人は浅野前さん、あなたです」

 俺に視線を向けられ、浅野前さんは感情が見えない作り物めいた微笑を浮かべた。

「そう推理された理由を、聞いても構いませんか?」

「理由は、ただの辻褄合わせです。語るまでもありません。でも、それじゃあ聞いている側からしたら勘で言われたのと大差ないですから、少しだけ説明を加えると、タロットカードに関する知識です。タロットカードは結果が満足いかなかった場合、おみくじみたいに占い直せるんですよ。タロットはよくわからないと言いながら、それを知っていて郷ちゃんとタロットを結びつけるような会話をした。あとは、情報との関連付けです。これまでの事件現場が、ターゲットである郷ちゃんに関係がある場所だった。情報と照らし合わせて、その情報に辻褄の合う動機があることがわかれば、断定できる。それだけです」

 浅野前さんは小さく息を吐いた。

「明知さん、わたしを犯人だと推理した理由としても、それで十分だと思います。ただ、動機までわかっているということは、もう調べ上げているんですね」

「はい。凪がいろいろと情報を調べてくれました」

 浅野前さんは、凪を見て、それから俺を見る。

「なるほど。お二人になら、どんな事件でも解けそうな、そんな空気がありますね」

 これには、俺はなにも言わない。別に俺は、凪とコンビを組むと言っても今回だけのつもりだからな。

 俺は浅野前さんに聞いた。

「今回の一件について、郷ちゃんからも話を聞いてもいいですか? あなたのカタルシスのために」

「ええ。どうぞ」

 促され、俺は郷ちゃんへと問いを向けた。

「郷ちゃん、これからする質問に答えてほしい」

「ああ。わかった。包み隠さず、答えると約束しよう」

 凛とした瞳で顎を引く郷ちゃん。

「昔、浅野前さんが幼いとき、彼女の家を誤って放火したのは、郷ちゃんだね?」

「そうだ。わたしがやった」

 間髪入れず、はっきりと答えた。

「そのことに、郷ちゃんは気づいていた。自分が昔、家を放火してしまった相手が浅野前さんだと気づいていた。そうだよね?」

「間違いない。わたしは気づいていた。けれども、わたし自身は幼かった自分が放火してしまったことなど、記憶になかった。思い出せないほどだった。でも、母からは聞いたことがあったのだ」

「じゃあ、わかってたよね? 今回の、浅野前さんの放火のこと」

 この質問には、郷ちゃんはわずかに考えた。そして答える。

「わかっていた。これが、わたしへの報復だと。ここ最近開に再び出会う、その前から。気づいたのだ」

 きっと、気づかせたかったのになんのアクションもなかった郷ちゃんに、俺と再び会わせることで、浅野前さんは気付かせたかったのだろう。当時のことを思い出す最中に、放火のことも思い出させたかったのだろう。

 だが、郷ちゃんは気づいていた。

「この連続放火事件は、郷ちゃんへの殺害予告だった。過去の罪を思い出し、反省し、浅野前さんに謝罪したら、許してもらえる。そんな執行猶予としての殺害予告だった。それを知ってたんでしょ? それに気づいていて、郷ちゃん、なんで自分から言わなかったの?」

 俺はやや落ち着きを崩しかけそうな気持ちになったけど、表面的には冷静でいた。

 果たして郷ちゃんは、諦観ていかんめいた表情で視線を落とし、

「許されることではないと思ったのだ。奪ったものが、あまりにも大きい。わたしは物心がつき、分別がつき、開とこうやってまた話すようになり、奪ったもののあまりの大きさに気づかされた。幼なじみで実の弟のような開は、とても愛しい。そんな開が死んだら、わたしはその相手を許せないかもしれない。わたしは想像力があまりに乏しい。だが、そんな人間だが、兄弟の尊さくらいはわかるのさ」

 この言葉を、浅野前さんはどう受け止めるだろう。どう反応するだろう。

「前に、開は究極の質問というのをわたしにしたな。わたしは、殺されるほうがいいと思ったのだ。殺すのだけはいやだ。ならば、潔く死のう、と」

「だから、郷ちゃんは殺されようと思ったの? そんなの間違ってるよ!」

 俺からの糾弾の声も、郷ちゃんは悲しげな瞳を揺らすだけだ。

「ああ。間違ってる。かっこ悪いのだがな、わたしはそれでも、途中で怖くなった。開や花音としゃべり、開とまた仲良くなりたいと思ってしまうほど、わたしは死ぬのが怖くなった。死にたくなかった。わたしは全然潔くなどない。どうすべきか、最後の最後で揺らいでいた。でも、浅野前には言えなかった」

 言い終えると、郷ちゃんの手が小さく震えたのがわかった。

 うつむく郷ちゃんの視線の先がどこへ向かっているのか、見えなかった。気持ちの整理がついていない証拠だった。

 だけど、俺は郷ちゃんに憤りを感じて、感情を抑えられずに言った。

「かっこ悪くなんかない。当たり前だ。死が怖いのなんか当たり前なんだ。そして、生きている人が死のうとするのは、間違ってる。なに勝手に諦めてんだよ! 生きるのを諦めるなんて、許されないことなんだ」

 説教でもするような口調になって言葉に熱が入ってきたところで、逸美ちゃんが郷ちゃんに言った。

「これまで何度も理不尽な殺人事件に関わってきた開くんが言ってるの。それは、間違いじゃないと思う。生きる意志を持って、蒲生さん」

「そうです。あたしはなんにもわかってない、部外者かもしれないけど、それくらいはわかります」

 鈴ちゃんにまで言われて、郷ちゃんは肩をすくめた。

「ふっ。しょうがないな。わたしは。開だけでなく二人にも言わるとはな」

 郷ちゃんは、生きるのを諦めるのを、諦めた。

 しかし、それを見過ごせない人もいる。

 浅野前さんは怒気をはらんだ声で、

「なにホッとしてるんですか。ここでそう言ったら、許してもらえるって、そう信じている顔をして。ズルいです。わたしは、たとえ蒲生さんが気づいたとしても、結局は殺すつもりだったんです。わたしの兄を奪ったあの炎で」

「そうだな。わたしはズルい。ここでこんな話をしたら、ズルいよな。許してもらうためにこのタイミングで言ったわけではないと、それは信じてくれ。それから、ちゃんと謝らせてくれ。気づいていたのにずっとちゃんと謝罪しなくてすまなかった」

 深々と頭を下げて、郷ちゃんはさらに土下座に移行した。

「あなたの大切な家族を奪ってしまい、すみませんでした。ごめんなさい。わたしは許されないことをした。どんなことでもする。どんな償いでもする。許してくれとは言わない。心が完全に晴れることがないと、それもわかっている」

 まるで、武士のような潔い土下座だった。

 絵になるような土下座を見て、浅野前さんは葛藤した声を絞り出す。

「じゃあ、自殺してください。……って、そう言えないですよ、こんな状態では。わたしは、わたしがどうすればいいか、わかりません。許したくなんてないんです! 絶対に! だってわたしのお兄ちゃんは還ってこないから! どうすればいいんですか? 蒲生さん」

 目に涙を溜めて訴える浅野前さんに、郷ちゃんはなにも言わずただ土下座をするだけだった。

「蒲生さんに関してだけではありません。わたしはこれからどう生きていけばいいんですか。これだけ罪を犯して、子供の罪とは違う、簡単には許されない放火という罪まで犯して、どう生きていけば……。復讐という目的さえ失ったいま、なんのために生きていけば……」

 地面に膝から崩れてしまった浅野前さんは、目に溜まっていた涙もあふれ出てしまった。

 そして彼女は、うちひしがれたように地面に手をついた。

 この浅野前さんの言葉に、俺はなんて言ったらいいかわからなかった。推理のための言葉は用意してきたけど、説得と仲直りをしてもらうための、ただの言葉でしかない。

 考えるばかりで焦って声が出ない俺だったけど、ふと凪の言葉を思い出す。必要な駒は用意した。それって、この場にいる人ってことじゃないのか。だったら、いまこの場にいて、しかし本来ならいるはずのなかった人間――その人が、必要だってことじゃないのか。

 俺は鈴ちゃんに目を向けた。

「なんですか?」

 ちょっとびくついた鈴ちゃんに、俺はお願いする。

「鈴ちゃん、俺は、頭ばかりで考えてしまう性格で、言葉が出ないんだ。代わりにと言ったら変だけど、浅野前さんに声をかけてくれない?」

「あ、あたしなんか、全然です。全然わかりません」

 困惑する鈴ちゃん。

 それもそのはずだ。俺にも答えが出せないことをお願いしているのだから。こういうとき、浅野前さんと同じ境遇だったり彼女の気持ちを唯一理解できたりする人が、駒として用意されるものだ。しかし俺の兄妹は生きている。姉代わりの二人も生きている。浅野前さん以外、そんな気持ちを重ね合わせて理解できる相手はいない。

 でも、だからこそ、実の兄弟も兄弟代わりになる存在もいない、ましてや今日初めて会った鈴ちゃんにしか、まったく異なるアプローチはできないのである。

 鈴ちゃんは言った。

「ごめんなさい! あたしには全然お気持ちがわかりません! あたしには兄弟もいません。身内が事故で亡くなった経験もありません。幸せです。あたしは、自分で自分が幸せだって思って生きてきました。いまでも、改めてそう思います。だってあたしは、いまの毎日が愛おしいんです。あたしは恋愛経験なんてないけど、パパが大好きで、パパがいるだけで幸せです。パパと過ごせるだけで幸せなんです。ファザコンだって笑ってください。もちろんママも大好きだけど、でも、ただ、いま大事に思える家族がいて、普通に友達もいて、凪先輩や開さんや逸美さんって新しい繋がりができて、あたしにはそんなみんなと過ごす毎日を送ることが、それだけで生きる目的なんです。あたしはあなたのお気持ちを汲み取ることはできませんけど、昔にとらわれるだけでは幸せになれないと思います」

 言い切った。

 感情のまま、想いのままにしゃべった鈴ちゃんは、しかと浅野前さんを見て、それから自分がなにを言ったのか実感して慌てて、あわあわして、ショートしたように赤面して固まった。

 哀しみに暮れる浅野前さんに言うには酷かもしれない内容だったけど、浅野前さんは地面に手をついたまま、力なく言った。

「もう、なんだこの子はって思いましたけど、おかげで、いまようやく気づいたことがあります。わたしは、死んだ兄のことばかり考えていて、いまいる家族を全然見てなかったんですね。死んだ兄とあの放火事件を思い出すから、やけどの痕が残った父の顔は、特にちゃんと見たことがありませんでした。いつも避けていたんです。わたしは、家族が大事だから復讐しようとしたのに、いまいっしょに過ごしている家族を、ちゃんと見てもいなかったんです。本当にバカでした。御涼鈴さんでしたっけ。ありがとうございます。わたしには、痛いけど、その分響く言葉でしたよ」

 と、浅野前さんは涙を流した。

 そのとき、ここまでずっと沈黙を貫いてきた凪が、やっと重い口を開いた。

「いまは人生百年と言われる時代だぜ? 昔の人生五十年の倍もある。その中のたった数年だ。罪を償ったあと、目いっぱい自分の人生を送れるさ」

 凪の言う通り、そのあと八十年もあるのだ。

「キミは目的をほしいと言ったね。だったら、失ったはずのものを、また取り戻しにいけばいい。まったく形が同じじゃなくてもいいじゃないか。家族との関係を、修復しなよ。そして、また日向に出てきたとき、キミを兄弟のように思ってくれる人、そんな存在が、キミを人間にしてくれる。ぼくはそう思うぜ」

 浅野前さんは凪を見上げた。

「兄弟……ですか?」

「そう。失ったものを取り戻しに行く人生は、なかなかにカタルシスがあるものだと思わないかい?」

「実は、なんだか、蒲生さんを見ていて、ちょっと考えてしまっていたんです。明智さんがわたしの弟だったら、弟みたいな存在になってくれたら、わたしの傷は癒えたのかなって。こんなわたしの兄弟になってくれますか? 明智さん」

 俺はこの問いに、しかと答える。

「浅野前さんのお兄さんみたいに頼りになる兄弟じゃないけど、たまに、傷を舐め合えるような、頼りにはならない弟でもよかったら」

「はい、もちろんです。ありがとうございます。ただ、たまに会うだけの、話し相手でいい。わたしの傷を癒そうとなんかしなくていいです。それだけで、希望が持てました」

「だから、罪を償ったら、今度は自分の人生を送ってください」

 俺が手を差し伸べると、浅野前さんは俺の手を握って立ち上がり、目の端の涙を指先で拭って、笑顔を作って言った。


「明智さんに出会えて、相談して、本当によかったです。カタルシスまで、連れて行ってもらえましたよ」



 このあと、浅野前さんは自首した。

 これからの彼女のことは、気にかけてあげようと思う。俺の幼なじみの郷ちゃんが、一番彼女のことを気にかけているのは確かだし、たまに二人で面会にも行くとも約束した。

ただ、浅野前さんは郷ちゃんへの恨みはなくなったらしい。

 郷ちゃんを完全に許すことはできないのだろうと思うが、それでも浅野前さんの中で、郷ちゃんへの感情に決着がついたようだった。

 郷ちゃんが家に帰るのを見送り、残った俺たち四人はいっしょに歩いていた。

 それぞれの帰路が、まだ分岐していないのだ。

 空がだいぶ暗くなってきた。

 あと三十分もしないうちに夕日も沈むだろう。

 逸美ちゃんはちょっとだけ不満そうに俺の顔を覗き込んだ。

「開くん」

「なに?」

「蒲生さんはしょうがないとして、どうしていつもお姉ちゃんを作るの? わたしがいるのに」

「いつもって」

 と、苦笑いになる。

「だって、沙耶さやさんだってそうでしょ」

 沙耶さんというのは、姿形が俺によく似たお姉さんで、アンダーグラウンドな世界で役者をしている人だ。ある役になりきって潜入捜査などをするために、しばしば俺は彼女に付き合わされるのだが、考えたら沙耶さんも俺を弟扱いするんだよな。


挿絵(By みてみん)

(2019.1.25イラスト追加)


 凪はやれやれと手を広げて、

「まったく、キミといると退屈しないよ」

「どういう意味だよ」

「あたしは先輩といると退屈しないですよ」

 と、鈴ちゃんが揶揄するように言った。

 俺は鈴ちゃんを見て、

「でも、鈴ちゃんがいてよかったよ。俺には、浅野前さんが自分の家族とちゃんと向き合えてないって、気づかせて指摘することはできなかった」

「あぁっ、いえっ、あたしなんて全然! なんにもできなかったですし、いやでもファザコンとかいう話は忘れてくだしゃい」

 最後ちょっと噛んで恥ずかしそうに赤面しながら顔を伏せる鈴ちゃん。

 凪は、ここまでわかってこの子を選んで連れてきたのだろうか。いや、こいつのことだ、そこまで深くは考えないか。

 いまも凪は鈴ちゃんとファザコンがどうこうと言い合っている。やれやれだな。


 交差点まで来たところで。

 逸美ちゃんと鈴ちゃんが足を止めた。

「わたしこっちだから。また明日ね」

「あたしはこっちですので。今日はお疲れさまでした。また明日、探偵事務所にうかがいますね」

「みんな今日はゆっくり休むのよ。ばいばい」

 手を振る逸美ちゃんに振り返し、鈴ちゃんは礼儀正しくお辞儀して去ってゆき、残ったのは俺と凪だけになった。

「さ。俺たちも帰るか」

 凪を見るが、こいつは俺から視線を外し、文字板が青い腕時計を見た。

 なにを確認しているのかと思っていると。

「ふう。やっと、先の時間へ進み出した」

「なにを言ってるんだよ」

「時間が動き出したんだ。キミはやったんだよ、開。おめでとう。螺旋が、愚者の旅が終わったんだ」

 どういう意味だ?

「理由はこれから話そう」

今回名前だけ出てきた綾瀬沙耶が登場するお話を別に書いています。連載中の「あけちけの日常と少年探偵団の日常」に登場します。気になった方は見ていただけたらうれしいです。


綾瀬沙耶のイラストは、2019.1.25に追加しました。

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