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第六章8 『routeW 16』
この晩、俺は寝つきが悪かった。
どうしてもいろんなことを考えてしまうのだ。今回の放火事件について、関わってきた人たちについて。
特に、浅野前さん。
彼女を救う方法がないかと。
カタストロフとカタルシス。
凪の言葉も頭の中で渦巻いていた。
俺は携帯電話に目を向けた。
郷ちゃんのことは、さっき電話で話したばかりだから考えてしまうのも無理はない。それも、嫌な胸騒ぎのあとに電話で話したのだから余計だ。しかし、郷ちゃんの声を聞いてホッとしたのもあり、郷ちゃんに対して頭を悩ませる、ということはなかった。
考えるべきことは、他にある。
やはり、事件の解決方法だ。それも根本からの解決。そうじゃなくちゃ意味がない。
俺は眠りにつくまで、また静かに考えを巡らせていた。