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第五章5 『routeM 8』
帰り道を、ひとりポケットに手を入れながら歩く。
決戦は明日。
連続放火事件の犯人を捕らえる最後のチャンスになる。犯人の目的も、明日の夜には明らかになる。確かめてやる。
ふと。逸美ちゃんの言葉が耳の中で反響した。
――愚者の旅が終わる。
この物語の愚者とは、誰だろう。
誰の旅が終わるのだろう。
旅とは、どんな旅だろう。
最後に見る世界はどんなだろう。
タロットカードを手掛かりにしたこの事件がどんな結末を見せるのか、俺には想像もつかなかった。
いや、このときにはすでに、可能性くらいは想像できていたのかもしれない。
俺はひとつ、息を吸った。