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馴れ初めを聞かれても困る  作者: 青木りよこ
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白いワンピース

「芙蓉ちゃん、そのワンピース可愛いね」


高月渚は芙蓉の着ているウエストのラインにリボンのついた白いノースリーブのワンピースを褒めた。芙蓉は「ほうか」と興味なさそうに他人事のような返事をした。


「今日私達お揃いみたいな格好だね」

「そうじゃの」


二人は白いワンピースにサンダルに白いシュシュと、髪型以外まるで申し合わせたように同じ格好だった。

高遠忍はいつもの袴姿にリュックを背負い、右手には金色の杖を持っていたので、首都圏のイベントに行く兄を駅まで見送りに来た姉妹のようになってしまっていた。

踏切を渡り、龍潭寺前まで来たが、高遠忍はそこを素通りし、大祠弁財天へと続く道をスタスタと歩いていった。


「ここから登るんじゃないの?」


高月渚は慌ててその背に問いかける。


「俺はいつもこっちから行っている、神社の裏に道があるんだ」

「そうなんだ」

「ああ」

「忍、我疲れた。おぶってくれ」


高遠忍は無言でリュックを下そうとしたので高月渚は両手を差し出し、リュックと杖を受け取った。

芙蓉は高遠忍の背に飛び乗り「さっさと行くよの」と言ったので、高月渚は自然と黒いリュックを背負い、杖だけを高遠忍に返した。


「高月渚、重いだろう。俺が持つからいい。貸してくれ」

「そんなに重くないからいいよー、ごめん私のも入れていい?」

「ああ」


彼は高月渚が左手に持っていた袋を受け取り、リュックに詰め込んだ。


「ほれ、行くぞ」

「ああ、高月渚。持てなくなったら言ってくれ」

「うん、多分平気」


大祠弁財天への坂道を二人は並んで歩いた。早朝なので人もいないし、朝の澄んだ空気が気持ちが良かった。

坂道を上がり切ると手すりのついた石段が見えた。

石段を登っていくとお堂が見え、立派な山門があり、山門の隙間から彦根城が見えた。

爽やかな風がしきりと彼女の白いワンピースを揺らした。

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