少し変わってるな
「そっかー、あっ、ねえお馬さんは?」
「首なし馬のことか?」
「うん」
「出せるが、会いたいのか?」
「うん、ちゃんとお礼言いたいなって、会える?」
「ああ、出そう」
「忍、庭でやれ」
「ああ、わかった、じゃあ、行ってくる」
「じゃあ、ありがとう。またね、芙蓉ちゃん」
「またの」
玄関を出ると高遠忍は懐から白い紙を取り出し、虚空に投げつけると、首なし馬が登場した。
「わー」
彼女は歓声を上げた。
「この間は送ってくれてありがとうございました」
そう言ってぺこりとお辞儀をした。
首なし馬は彼女の胸元にすり寄ってきたので、彼女は両腕で首なし馬を抱きしめた。
「あんた、変わってるな、怖くないのか?」
「何が?」
この間、他に方法が思いつかなかったとはいえ、女の子を乗せるのにふさわしいとは思えず、後悔していたのだが、どうやら杞憂だったようだ。
「妖怪だ、怖くないのか?」
「うん、別に。怖くないよ。皆可愛いし」
「可愛い?首なし馬がか?」
「うん、こんな風にすりすりしてくれたら、懐いてくれてるってことでいいんでしょ?」
「まあ、そうだろうな」
「だったら、嬉しいよ、好かれてるってことだもん」
首なし馬は中々彼女から離れようとせず、存分にこの感触を楽しんでいる。
「ねえ、高遠君。妖怪さんって、何て言うか・・・・・・・・・・・・・・・女の子の・・・・・・・身体が好きなのかなあ?」
「さあ、そんな話は聞いたことはないが・・・・・・・・・・・・・・・・」
彼は見たことのない反応を見せる首なし馬を見て「・・・・・そうなのかもしれない」と付け足し、白い紙を首なし馬に巻き付けるように放った。
腕の中から消え失せ、何もなくなった空間を高月渚の黒い瞳が不思議そうに見つめていた。




