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馴れ初めを聞かれても困る  作者: 青木りよこ
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高遠忍

何故こんなにも高遠忍に話しかけられないのか?高月渚は自分でもよくわからない。

姉二人に両親の五人家族で、親戚も女の子ばかりで、男の子はいなかったが、クラスメイトや同じ部活の男子とは普通に話せるし、男性に対して恐怖や嫌悪などを持っているわけではない。

なのに何故彼だけが特別なのか?何故話しかけることができないのか。それは彼の容姿のせいじゃないかと高月渚は思うのだ。


高遠忍は今まで高月渚が知っていたどの男の子とも違っていた。

まず色が違う。

高遠忍は童話に出てくるような美しい金色の髪に碧い瞳を持っていた。

それだけなら高月渚もここまで悩まなかっただろう。

彼が唯の美しいだけの少年なら。

同じクラスの綺麗な男の子。見るだけで嬉しくなる。

そんな存在で終わるはずだった。それなのに。


入学式の終わった後の教室で白い兎が跳ねていた。

白い兎は数を数えてあげましょうとばかりに、生徒たちの頭から頭へ移動した。

でも誰も気づいていなかった。

頭の上に白い兎が乗っているというのに。

白兎は高遠忍の頭に飛び乗った。

彼は明らかに他の生徒とは違い、美しい金色の髪を揺らした。

白兎の重さを、彼だけは感じたからだ。

高月渚の席からは彼の表情までは読み取れなかったが、白い兎は高遠忍の頭から動かなくなり、彼は白兎を頭に乗せたまま、帰宅の途に就いた。


その日からずっと高月渚は彼を見つめた。彼にも自分と同じように、この不思議が見えているんじゃないだろうかと。


高遠忍君と話してみたい。彼に聞きたい。


「見えるの?」と。

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