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馴れ初めを聞かれても困る  作者: 青木りよこ
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白鼠

高月渚はベッドの上に座ったまま、ネグリジェを脱ぎ、椅子の上に置いてあった白いブラジャーを付けた。

すると、どこからともなく、白い鼠が現れ、白い蛇には目もくれず、彼女の白い腹を上り、白いブラジャーから零れそうになっている彼女の左胸に定位置とばかりに収まり、そのまま白いブラジャーをハンモックに瞳を閉じて、すよすよと眠りだした。


この白鼠は彼女がスポブラを付け始めた頃からの付き合いなので、白い蛇からしたら後輩なのだが、初めから我が物顔で彼女の左胸に収まり、彼女の胸がアルファベットを両手で数えるようになった今も当時のままの大きさでここにいる。ちなみに彼女が何を言っても喋ったりしないが、左胸への帰巣本能は凄まじく、朝離れていても、逞しくボンダリングのように頂を目指してくる。


「おはよう、チュウちゃん」


高月渚は自分の左胸の白鼠に話しかけると、立ち上がり、制服のグレーのシャツに着替え、黒いスカートをはいて、少し躊躇いながら、黒いタイツに手を伸ばした。

季節は六月の終わり。もう正直暑くてタイツなど履きたくはないのだが、今だに高遠忍に話しかけられていないので、彼女は毎朝黒いタイツを履いて学校へ行った。

高遠君に話しかけることが出来たら、もうタイツなんか履かないんだ。

だが結局、夜寝る前には椅子に次の日のブラジャーと黒いタイツを置いてしまう自分がいて、自分の勇気のなさにがっかりする、そんな繰り返しだった。


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