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風船の終わり  作者: 夢みがちの時雨
3/8

夢のような少年

これは少年のお話さ


恨み辛みを閉じ込めて


それでも溢れる少年のお話さ


少年の顔は女が嫉妬に狂うほど美しく


少年の性格は男が羨むほど優しかった


でもねそれは夢なんだ


悪魔の見せる気まぐれの夢なんだ

少年は夢だ これは夢なんだと

口に出す


だが少年に降りかかる埃と西日は

本物だ


狭くてきついその天井裏の壊れたベットから

少年は体を起こす


体を起こすと体の軋む音がした


少年ははしごを使ってしたに降りる


そこにいるのは一人の女性

遠くから見ると綺麗な人だ

だが僕は知っている

この人は見かけだけだと

中身は腐った蛆虫より醜悪なのだと

言い聞かす


若い女性は僕の頭の上に手をのせて

慈しむように嫐るように指を動かす

僕の体は反応し自分の意思とは別に

体の中から熱いものが溢れだす

そんな感覚を体の底に押し込める


僕は

冷たい仮面を顔に引っ付け笑顔を作る

自分の嫌いな猫なで声で媚を売る


そして女性は心底嬉しそうに

今からではどうかと声を紡ぐ


僕はその手で蛆虫の手を取り

喜んでと微笑んで見せる


僕はきっと夢なんだ

明日になったら消えるんだ


とりあえず今はこの蛆虫を

悦ばせることから済ませよう



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