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俺は変態なんじゃない!紳士なだけだ!  作者: レトレトコンボ
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迷子の少女

俺はいつでも暇だった。

この高校生生活で早くもでた答えだ。高校になれば何か変わるかもしれない。そんな幻想を抱いていたが俺は気づいたらボッチじゃないか。

この金持ち校はどうやら小中高一貫教育だったため、最初からグループというものができていた。だから俺はボッチ。


いや、まあ今はどうでもいい。

まあ、あれだ別に友人とかが欲しいわけでもなくただ暇なのだ。


なにか刺激的なことはないだろうか?

なにか楽しいことはないだろうか?


ただそれだけだ。

今の暇つぶしと言ったら、嘉師和木奏。

こいつだ。俺は男に気があるような趣味は持ち合わせてないが、いつも奏のことは目で追いかけている。

その理由はおそらく奴のつける「仮面」だろう。


いつでも周囲を欺き優しい人、憧れな人となっている。よく告白されているところを見かけるが、振ってはいるが女の子を決して傷つけない。そして株をあげておく。そんなことばかりしていて、奴の本性がサッパリわからないのだ。奏はまるで自分の演劇の舞台を作るようにクラスの連中を裏で操作しているように俺は思った。


だが今日なによりも楽しいものが見えた。それはーーー。


「俺の…。俺の楽園を奪わないでくれー!」

暇であくびをしているときそんな叫びがこの教室で響いた。

その本人こそが嘉師和木奏。彼だった。

そこからはただただ私情を叫びわけのわからんことを言っていたが、話が女子と男子で戦争なんておこそうとしていた。


…なんて………。………なんて楽しそうなことだ!

今までの人生で一番楽しそうかもしれない。

やはり俺の目に狂いはない。


嘉師和木奏。

奴といれば、暇なんて…なさそうじゃないか!







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ただいま帰りました。」

ぺこりと周りの執事さんやメイドさんに挨拶をする。

彼女は窟沼院八千代。大きな病院の一人娘だ。

家は大きな洋館に住んでおり、なにも不自由なく過ごしていた。

そんな彼女は機嫌が良かった。

なぜならテストで百点を取ったのだ。


ただですら偏差値が高く、エリート中のエリートしか通わない学校で百点を取ったことはある意味奇跡と呼べるだろう。


コンコン。大きな扉を二回ノックする。

そして手錠を回し中へと入る。


「失礼します。」

そして今日何度目かの頭をさげ、自分の母親に挨拶をする。

「ただいま帰りました。母様。」

母様と呼ばれた母親は手元にある書類の束を目に通している。


「あら、お帰りなさい。」

「母様聞いてください!今日テストで満点を取ったのですよ!」

えへへー。とニコニコしながら笑うが。

「なに?要件はそれだけ?」

ーーー冷たくあしらわれたのだ。


母親はため息をつき。

「この窟沼院の娘なら満点など当たり前のことです。あともう二度とそんなことでいちいち報告しないで。それで?要件が終わりなら早く部屋に戻って勉強でもしてなさい。」

「……はい。」

本当なら褒めてもらえたはずだが、この母親は娘を娘として見ていなかった。自分のことしか考えていないのだ。


「失礼しました。」

部屋を出る際に頭をさげゆっくり扉を閉める。

背後からメイドが二人現れ部屋へと連れていった。


入った部屋はあまりにも殺風景だった。

年頃の女の子の部屋とは思えないほどものがない。

前には机が置いてあり、そこに数々の参考書が散らばってある。でもそれだけだ。


窓なんて一つも無く、一生勉強してろ。とでも言われたようになにもない。

いや。八千代にもいろんな趣味があった。だが全部母親に捨てられた。なんでも勉強の妨げになるからだ。とか。


八千代はおとなしく椅子を引き勉強に取り組んだ。

正直年頃の女の子としては、外に遊びにでも行きたかったが扉のすぐそこには二人のメイドが見張っているため黙って勉強しているしかない。

軽く監禁状態と言えるだろう。


見張りを用意され、窓も一つもなく、勉強用具しか存在しない空間。

そんな中にこの少女は何年もいる。

一体どれくらい逃げ出したいと思っただろうか?

そんな感情を押し殺してシャーペンを動かした。

・・・

・・・

・・・

学校。それは私にとって唯一自由場所。

そんな感想だ。

家ではただただ息が詰まるような生活だ。自由なんてないし。勉強以外させてもらえない。生活も全て時間が設定されており、それに従うだけだ。


ーーーー逃げ出したいーーーー


そう思った。

お昼の時間。そんなことを思い出してしまったため学校を散歩していたのだが……。


「あれ……?ここどこ………?」


周りは完全に森や樹海という言葉がふさわしい場所だ。

よくみると蛇やらもうじゃうじゃいて本当に学校の中か?と疑問を思わせたが。

今はとにかく。

「私。どうしよう…。」


ボーと立ち尽くしたのだった。

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