世界の中心で俺はロリコンではないと叫ぶ。
「なんかねー。小等部で不審者でたんだってー。」
「不審者??」
何気ない会話の中、メルは口を開く。
メル、グミ、モモ、俺の四人でモモの小さな建物にてお弁当を食べていたとき気になるワードが聞こえた。
不審者。
それは人々を脅かす最悪の存在。
それがまた小等部ででたとなれば紳士の俺はなにか対策を取らなければならないだろう。
「うん。体育の授業中にね、誰かに盗撮されていたらしいんだー。」
「それは許せんな。正々堂々撮影するべきだ。」
「いや。捕まりたいんですか…。」
おいモモ。そのジト目やめろ。なんか目覚めちゃうだろ。
「?そういえば英梨菜さんは?」
「英梨菜?なんか今日は友達と食べるんだと。まあ、あいつにはあいつの付き合いがあるしな。」
グミが首を傾げる。あれだな小動物と勘違いしそうだよ。
みんな食べ終わった後、それぞれ解散となった。
・・・
・・・
・・・
「この写真はなんなのだ!」
クラスに戻ったとき、大きな声が響き俺は目線をそちらへと向けた。
その声をあげた少女。この少女には見覚えがあった。
その少女は阿佐㮈緋月。きれいなロングポニテが特徴的な風紀委員長の少女だ。
この学校での風紀委員とは絶対的な権力を持つのだ。また一年生で委員長を受け持ったことにより有名なのだ。
そんな彼女が声をあげるとは、男子生徒よ。一体なにをした。
…。ん?写真?先ほどの会話に繋がりがあるような…。
緋月がバン!と机に置いた写真にはこの学校の女子小学生が写っていた…。
あーあ。ビンゴだったよ。…てか不審者ってお前かよ。
「い、いやあれですよ。俺の妹っすよ。」
そんな共同不審じゃ怪しんでくださいっていってるもんだぞ。
「嘘をつくならもっとましな嘘があるだろう!」
「ひ!」
ほらばれた。
「そうよ。それに全然似てないじゃない。」
「あとその子兄弟いないらしいけど。」
女子集団はその男子生徒を攻め立てるように次々声をあげた。同じ女子として盗撮されていたことが許せないのだろう。
って英梨菜もいるじゃん。
「す、すみません!もうしないので見逃してください!」
なさけないなー。もうちょっと粘ろうぜ。
「しかたない。今回は不問にしてやろう。…でも流石になにか対策を取るべきか…。よし、高等部と小等部を完全に別にしよう。」
「はーーーーーーー!!!???」
「 ぬ?なんだ嘉師和木よ?」
完全にやっちまった。ここで声をだしたら注目を浴びるに決まっているのに…。
英梨菜なんて頭抱えてるし。
だが今の俺には…誰にも止められないぜ!
「おい。お前。確かに対策をとることも大事だろうが、別にする必要は無いとおもうのだが。」
うーん。と緋月は考え。
「 ではどうすると?次の再発を抑えるためにはこれが最も最善だと思うのだが。」
確かに最善だろう。正論だ。だが、だが俺には!
「俺の…。俺の楽園を奪わないでくれー!」
叫び。それは心からの叫び。もはや学校的なことなど考えてない欲望に染まった私情!!
「なにをいってるのだ?」
「馬鹿野郎!そんなことしたら俺の癒しがなくなってしまうじゃねーか!俺から幼女をとったら俺はなにを楽しみにして生きればいいんだよ!?不登校になるぞ!」
「よ、幼女って。…まさか嘉師和木よ。お前。変態の代名詞ロリコンと呼ばれる輩か?」
「俺はロリコンじゃねー!!だが俺は言っておこう。ロリコンは変態ではない…!文化なのだと!まったくツルペタボディーは最高だぜ!」
シーン。
シーン。
シーン。
沈黙が流れる。言ってしまった。やってしまった。俺の今まで築きあげてきた設定が全部壊れ女子には蔑まれるだろう。
だが、今の俺には後悔なんてない。むしろ清々しく思えた。
「こ、この変たー」
『よく言った!お前こそ本当の漢だぜ!』
クラス全員の男子生徒からの叫びだ。
「正直。生簀かないイケメン野郎かと思っていたが…見直したぜ!」
「ああ、俺もだ!」
「俺はこの趣味が気持ち悪いものだと思っていた…。だけどそれが間違っていたと思えたんだ。それは嘉師和木…お前のおかげだぜ!」
「お、俺も!」
「ぼ、僕も!」
男子達は次々と立ち上がりロリコンは文化なのだと言った。
俺は涙がでそうになった。…ロリコンじゃねーけど。
「俺は今確信できた!!」
この一言でまたクラスは静まる。
「ロリコンは…!人と人を繋げれるのだと…!!」
俺は涙を零した。
『うおー!!』
「いや!無理だから!」
英梨菜。うるさい。
「まったく…。まさかこの学校には変態だらけだったんだな…!」
風紀委員長の一言。
男子達は静まった。だが決して怖気ずいたのではない。絶対に信念を曲げないという、意志の宿った瞳。
「よし。ならば戦争だ…!」
ボーン!!
クラスに一つは配備されている超大型テレビの電源が急に入った。
そしてそこに移し出されたのは。
「やっほー!!なんか楽しそうだねー!」
「あ、あなたは!」
「理事長代理!」
本当に大人か?身長何センチだよ?と言わせるレベルの身長。小学三年生といい勝負なんじゃないかと思わせる小柄な体のロリ教師。理事長代理が写し出されたのだった。
「うんうん。驚くのもわかるよ。でも大丈夫!今までの話全部聞いてたから!感想?そうだねー。嘉師和木奏くん!」
「はい!(キリ」
「正々堂々と変態発言する君はカッコよかったよ!」
「お褒めに預かり光栄でございます。」
奏はこのロリ先生が大好きなのです。
にゃははー!と無邪気に笑う理事長代理はあまりにも可愛いかった。
「それで、一体なんの御用でしょうか?理事長代理。」
緋月は話を進める。
「うん。えーとねー?さっき戦争をしよう。っていってたじゃない?先生そういうの大好きなんだ!だからね?その勝負内容を私が決めたいなーっと思って!」
「確かに理事長代理が決めて頂けられるならお願いいたします。」
「やったー!じゃあ、勝負は簡単!今この学校で行方不明になってる女子小学生。窟沼院八千代ちゃんを先に保護したほうが勝ち。ってどうかな?」
テレビの半分が画面が変わりそこには八千代ちゃんの写真が写し出された。
「女子が勝てば完全なる高等部と小等部の隔離を認めます。男子が勝てば隔離の件を無くすよ。でもそれだけじゃつまんないからー。そうだねー。理事長代理権限でそれぞれの代表から願い事を一つ叶えてあげる!」
最後の一言でかなりの盛り上がりを見せる。
「高等部の男子、女子と別れ一時間後にスタートだよ!では!全校生徒よ!健闘を祈る!」
敬礼のポーズをとり電源は切れた。
「まあそういうことだ。精々恥をかかんようにな。」
女子達は自分達の陣地を決めてどこかえむかった。
そんな勝負のことよりも八千代ちゃんのことが奏は心配だった。
・・・
・・・
・・・
「まあ、男子代表は嘉師和木でいいよな!」
「そうだな。」
「異論なし。」
高等部男子全員が集まり代表を決めようとしたとき、不意に一人が提案し周りはそれを承諾していく。
「本当にいいのか?俺で。」
「むしろお前しかいないよ!」
そうだ!と周りは盛り上がりを見せた。
「お前ら…。」
「よーし!こうなったらみんなで嘉師和木を胴上げだー!」
おう!と全員が奏を担ぐ。
『ロ・リ・コ・ン!ロ・ン・コ・ン!』
「お、俺はロリコンじゃねー!!」
のちにこの戦争の事を
「第一次ロリコン戦争」
といわれ、この学校の伝説となるのだった。