第十話:晴と雨の境界
お久しぶりです。 それでは第二章お楽しみください。
それと話の最後に重大発表あり!! なのでちゃんと読んでね。
それでは、恒例のアレいきましょう!
登場人物紹介
時雨 飛鳥(新)
詳しい情報は第2話で、第一章の最後、謎の症状によって髪の色、瞳の色、そして胸に奇妙なアザが出来た。
話し方は○○○だよー。 などと言ったものが普通。
外見に変化があっても中身は相変わらずパッパラパーである
霧ヶ峰 深夜
詳しい情報は上に同じく………。 もと武道、剣道の達人である。 ブランクはあるものの第2、3にて刃物、拳銃持ちの相手よりも何枚も上手の実力を見せた。
第一章の最後、無職であることが露呈し彩夏に多少引かれたとか………
話し方はかなり普通、飛鳥相手になるとツッコミポジションに切り替わる。
水樹 彩夏
詳しい情報は(ry)。 飛鳥とのやり取りで面倒見の良いところが徐々に現れている。 基本ツッコミのポジション
補足:この物語のポジションは多々切り替わりまっくているので悪しからず……
夜城相手には容赦がない。その他にも戦闘シーンにてかなりの拳銃の腕前を見せた。
○○ね、わよ。 といった女性特有の口調で話したりする。
夜城 霊
詳しい情報は(ry)。 始めは自称名探偵と呼ばれつつあったが、次第に見事な推理力且つ観察眼を見せ認められつつある。 個人情報は一切明かされておらず、本当の本名は保護者(?)であるアニマしか知らない。
常に敬語を使う。
その他は各話の冒頭で!!
第十話 晴と雨の境界 rainy girl
1
窓の外は、今日も雨が降り続いている。 そんな外の景色をとある病室からずっと眺めている一人の少女がいた。
少女の名は、時雨飛鳥6日前、とある誘拐事件に巻き込まれてしまいその後無事警察の元に保護され、以後監視の目の中で生活している。
飛鳥「いやー、それにしてもこんなに雨ばっかりだとジメジメしてなんか嫌な気分にならないかなー?」
飛鳥に話しかけられた男性は、病室のベッドの上で本を読みながらこう答えた。
夜城「私としては、別に天気とかはあまり気にしませんね。 むしろこんな日の方が個人的には好きなんですがね」
飛鳥「もう、そんなんだと彩夏さんの言う通り、頭からキノコとか生えちゃうよー、夜城さん」
飛鳥の言葉に夜城は自分の頭を指で叩きながら得意そうに言った。
夜城「ご生憎様、私は常時頭を使いまくってるのでそう言った類いは生えてきませんよ」
飛鳥「じゃあ、飛鳥には生えてくるかな?」
何故か嬉しそうな顔をしている飛鳥に夜城は呆れながら答えた。
夜城「生えたら、まず死んでます」
飛鳥「そうだよねー」
飛鳥は座っている椅子を回しながら髪を弄っていた。
飛鳥の髪は三日前、なんの前兆もなく突然色素が抜け落ちてしまい、完全なクリアカラーとなってしまっていた。 他にも、血と同じくらいの色をした目や、胸に出てきた謎の六角形のアザ(?)などと見た目からして完全に別人となっていた。
始めはかなりのショックを受けていた筈だったが何故だか最近はこの色で良いと気に入っている。(前回参照)
飛鳥「そう言えば他の二人は~?」
夜城「もうじき来るはずなんですけれど………遅いですね。 何か時間潰しに何かしませんか?」
夜城の提案に飛鳥はハイな気分になったのか。 椅子の回転を速くしながら『賛成~』と答えた。 そして何か思い付いたのか回転する椅子から飛び降り、夜城のベッドの上に乗っかった。
飛鳥「あっ、そうだ! 夜城さん」
夜城「はい、何でしょうか?」
急に飛び乗ってきた飛鳥に驚きながらもどうにか反応した。
飛鳥「そう言えば、私まだ夜城さんの推理とか名探偵らしい所とか見たこと無いんだけど、今そういう推理っぽいことできる?」
飛鳥の要望に首を大きく振りながら、自信満々にこう答えた。
夜城「勿論です。 簡単なものですがよろしいですか?」
飛鳥「うんうん! 全然構わないよ~」
そう言った直後、病室の扉が開かれそこから夜城の担当となっているドクターが部屋に入ってきた。
ドクター「夜城さん。 お知り合いの方があなたと話したいと………」
夜城「あっ、丁度良い所に来てくれましたね。 ドクター。 少しあなたについて幾つかよろしいでしょうか?」
ドクターは軽くため息をついた後、構わないよ。と了承した。
夜城「では、早速ですがあなたの名前は天道敦也。 29歳。 三年間ドイツ留学をしてその後、この病院に就き現在に至る。 どうです?」
夜城の徒然と続く言葉ににドクターは口を開いた状態のまま話を聞いていた。
飛鳥「ええぇぇぇ?! 今のもしかして合ってるの? 先生?!」
飛鳥の問いにドクターはこくりと頷いた。
飛鳥「すっげぇ………何で分かったの?」
夜城「ドイツの医学基準は確か日本と同じはずです。 それに私前こんな言葉を聞いたことがあるんですよ」
飛鳥「どんな言葉なの?」
夜城は咳払いすると大音量のシャウトをした。
や「我がドイツの医学薬学は世か__」
彩夏「はい、アウトォォォォォ!!」
夜城が最後まで言い切る前に彩夏が部屋に入ってきて夜城の頭をドクターの手に持っていたカルテで思いっきり殴った。
夜城「痛いじゃないですか。 彩夏さん……」
彩夏「いや、人がお見舞いに来てみて、いきなりドアウトな発言されたらね。 著作権ってしってんの? んで、どうしてアンタは先生についてしってんの?」
夜城はふてった顔をしながら答えた。
夜城「ですから、私の銀色の脳細胞がですね………」
彩夏「灰色な! 後、そのテヘッとした顔止めろ! なんか腹立つ」
夜城「ヒドイ……簡単なこと言えば彩夏さんの名前を借りて警察ファイルの捜査記録を見てたんですよ」
彩夏「ふんふん、それで」
彩夏は腕を組ながら頷いた。
夜城「その時につい出来心で他のことを色々と見ていたんですよ。 そしたら、軽犯罪のリストにドクターの名前があって見てしまってね、そして興味本意で調べるために彩夏さんの権限をこっそり借りまして……ってやばっ………」
夜城の目の前で消火器を構えて彩夏はスタンバっていた。 そして笑顔且つ弾むような声でこう言った。
彩夏「あのね、夜城___なに人の職権乱用しとんじゃあー!」
夜城「ちょっ、さすがにそれは………ほ、ほら私怪我人ですし……ってあぁぁぁぁぁ!!」
病院の中に夜城の断末魔が響き渡った。
飛鳥「ちなみに先生何したの?」
すぐ横の騒動をチラ見しながら飛鳥が尋ねた。 するとドクターは頭を掻きながらこう答えた。
ドクター「いやー、免許取ったばかりにスピード違反をかなり起こしちゃてね…… 今は安全運転をを心がけてるよ」
飛鳥「へぇー、そうだったんだ~」
2
一方、深夜は丁度店から傘を持って出てきたところだった。
深夜「やれやれ、まさか急に雨が降るなんて……こりゃあ遅刻かな?」
そう言った後、黙って雨の降る空を見上げた。
深夜 (飛鳥達と出会ってからもう一週間も経つのか、何故だろうやっぱりあの日のことをよく思い出すようになった気がする………)
深夜「………………………」
深夜はしばらく俯いたままの姿勢でいた。 やがて顔を上げて待ち合わせ場所の病院へ向かうために傘をさしながら歩き出した。
しばらくすると、ポケットの中に入っていたシオンが突然雨の中走り去ってしまった。
ちなみにシオンとは、深夜が飼っている子猫のことだ。(第一話参照)
深夜「あっ!」
深夜は走り去っていくシオンの後ろ姿を追いかけた。
深夜 (全く、そっちは病院と逆方向じゃないか…… いい加減あの脱走癖も治って欲しいもんだ………)
なんてことを思って追いかけていると不意にシオンが立ち止まり、トコトコと道端の人の元へ歩いていった。 そして全くの抵抗の行為を見せずに目の前の人物に抱えあげられた。
深夜 (おいおい、もしかして俺って道端の見知らぬ人よりもなつかれていないのか?)
心が若干傷つきながらもシオンを抱えている人物に駆け寄りお礼をした。
深夜「いやー、すみません。 うちのネコが急に雨の中走り去ってしまうものですから………」
ふと顔を上げ、その人物を見た。
その人物は幼い少女だった。
歳は大体十代程だが、身長は飛鳥とあまり変わりがない。
傘はさしてはいなかったが代わりにレインコートを着ていた。
外見は例えるなら、穏やかな小動物といったところだろうか。 少女はニッコリ微笑みながらシオンを深夜に差し出した。
少女「もう、離しちゃだめなんですよ。 あまり雨に当たると、この子もカゼひいちゃうので」
深夜「あ、あぁ、どうもありがとうな。 でも君もこんな雨の中一人でいるのはあまりよくないと思うぞ。 いくら昼だからって___」
深夜の言葉に少女は、表情を変えないでニコニコしたままこう返した。
少女「あの、変かもしれないですけど、雨に当たりたかったんです………」
恥ずかしいのか表情はいつの間にか赤く変化していた
深夜「そうだったのか。 っていっけね、危うく用事を忘れるところだった。 そいつのことありがとな。 それじゃあ……」
深夜は少女にお礼を言ってシオンをまたポケットに入れて病院へ走っていった。
少女「また会えるといいですね」
少女はそう小声で呟きながら、深夜の後ろ姿に手を振っていた。
3
飛鳥「遅~い!」
まず夜城の病室に入った時にかけられた声がそれだった。
深夜「仕方ないだろ? 雨、急に降りだすんだし……」
彩夏「ま、まぁまぁ飛鳥ちゃん、何はともあれ無事にまた四人揃ったんだからいいじゃない。 ね?」
深夜と飛鳥の言い合いに彩夏が仲介して飛鳥をとりあえず宥めた。
夜城「とりあえず、この前話した皆さんの携帯電話です。 くれぐれも他の誰かの手に渡らないようにしてください」
そう言い、夜城は机の上に4つの携帯電話を置いた。
夜城「それと、この携帯内部にはGPS機能が付いています。 何かあったら側面についている丸いボタンを押してください。 そしたら自然と私かアニマのもとに向こう側の音声が聞こえようになります」
夜城「本当に用意周到ね、夜城」
そう言って彩夏は携帯を手に取った。
夜城「まぁ、それが私の取り柄でもありますから、それともう一つお詫びというか私たち専用の隠れ家なんですがもう少し待ってもらえませんか?」
頭を下げている夜城に飛鳥は問い掛けた。
飛鳥「何かあったの?」
飛鳥の質問に黙って頷き、夜城は恨めしそうに彩夏の方を見た。
彩夏「な、なによ……私が何かした?」
彩夏の言葉にかぶりを振った夜城は小声で彩夏に語りかけた。
夜城「何で、彩夏さんの部署のリーダーがよりによって《あの人》なんですか?」
彩夏「あの人………、あーー先輩のことね。 確かにアンタあの人少し苦手だったわね」
夜城「苦手というか型が合わないんですよ、私の緩い考え方とあの人の堅い考え方では…………」
唇を尖らせている夜城に飛鳥が背後から再び質問してきた。
飛鳥「彩夏さんの先輩ってどんな人なのー?」
深夜「お前、意外と耳良いのね……」
深夜が軽く誉めるのに対して飛鳥は髪を弄りながらこう言った。
飛鳥「なぜかあの後から外見だけじゃなくて身体の調子とかも一段と良くなったんだよねー」
彩夏「といっても、まだあの薬についても黒い液体についても何も分かっていないのよね……もしかしたら他にも副作用がないか心配だわ」
顔に手を当てながら不安そうに言う彩夏の後ろで夜城は頭を掻きながらため息混じりの声を出した。
夜城「それもそうなんですけど、脱線しすぎですってば………まったく」
彩夏「それでね、話を戻すと先輩は私が新米の頃から何かしらの縁でずっと上司を担当している人よ。 鋭い観察眼と人望も高くて警察庁の中でも五本の指に入るくらいの拳銃の腕前よ」
深夜「じゃあ廃墟で見た彩夏さんの拳銃の腕前って………」
彩夏「そっ、先輩直伝の腕前を受け継いでるってこと」
彩夏はホルスターから拳銃を取りだし得意そうに指で回しながら深夜の方を見た。
飛鳥「何だかんだ言ってここにいるメンツって飛鳥以外超人の集まりって言っても過言じゃないかも……」
深夜「お前もある意味超人だよ………」
飛鳥「深夜! それってどういう意味ー」
夜城「はいはい、本当に仲が良いんだか悪いんだか……」
飛鳥&深夜「「仲は良いです」」
二人のシンクロ具合にズッコけてから夜城は口を開いた。
夜城「それにありがちなキャラなんてすけど更に超が五つ付くほどの堅物なんですよ……」
飛鳥「うわぉ、確かにいそう………」
飛鳥の言葉に深夜も頷きながら便乗した。
夜城「その為、隠れ家について話しても『目的を言えー』や『理由を説明しろー』 だの言い続けるためなかなか解決しないんですよね……」
少々愚痴っぽくなってきた辺りで話題転換のために深夜が夜城に質問した。
深夜「それは仕方がないことだけど、まだ俺たちをここに呼んだ用件があるんじゃないのか?」
夜城「よくわかりましたね。 深夜さん」
眉をつり上げて驚いている夜城に深夜は まぁな と返した。
夜城「はい、それで本題なんですがこの病院に木原義純と関係のある人物が居たんですよ」
一同「「「!!!!」」」
鬼原 義純、今回の事件の黒幕であり、この間の一件から飛鳥達と因縁を持つようになった人物だ。
病室内に緊張感が漂う中、ゆっくりと夜城は口を動かした。
夜城「その人物の名は図盛 八社慈」
その名前に彩夏の中の何かが一致した。
彩夏「あれっ? その人って……飛鳥ちゃん達と出会う前に起こった怪物事件の被害者じゃない……」
深夜「ッッ!?」
《怪物》と言う言葉を聞き、深夜は座っていた椅子を勢いよく倒しながら立ち上がった。
飛鳥「ど、どうしたの深夜?」
深夜の唐突すぎる行動に三人の視線が向けられた。 深夜は俯きながら、じっと黙っていたが、声を震わせながら何とか説明した。
深夜「俺は恐らくそいつを一週間前の山小屋調査で見た………」
飛鳥「えぇぇぇ!! 何でそんなこといままで黙っていたのー!」
飛鳥は目を見開きながら深夜にシャウトしたが、深夜の視線は依然床にあり、手を強く握るっているだけだった。
その様子を一瞥し、夜城は全員に問いかけた。
夜城「偶然にしては出来すぎてますよね……?」
彩夏「ホントよね……」
その問いに頷き、同意した。
一同「……………」
彩夏「まっ、今ゴタゴタ考えても何も分かりゃしないわねっ。 ほら夜城、続き話しなさい」
暫しの間、沈黙が続いていたが彩夏の一言でそれは一蹴された。 その一言で他のメンバーも安堵のため息を吐いた。
夜城「それで本題についてなのですが、図盛さんからまたメッセージを頂いたんですよ」
飛鳥「どんなメッセージなの?」
夜城は静かに頷き、アニマから聞いた謎の伝言を口にした。
次は、あの子だ。 頼む、助けてやってくれ、私の娘を………図盛の子を___
彩夏「何か意味深な言葉ね……」
それが、皆がそのメッセージを聞いたときに思ったことだった。 深夜も腕を組んで聞いていたが、それを解き夜城に視線を向けた。
深夜「それで、その図盛さんとやらは?」
夜城「再び昏睡状態に陥ってしまいました」
その言葉を聞き、「やっぱりか」とため息をついた。
深夜「そう簡単にはヒントは出てこない………か」
深夜と夜城のやり取りの間あること飛鳥は気づいた。
飛鳥「でもさ、自分の子に○○の子とかってつけるかなー?」
夜城「その件については私も疑問に思いましたね。 ですが、その家しか持っていない事情もありますからね、深く考えるのは意味がないでしょう」
そう言いながら夜城は一枚の写真を取り出した。
飛鳥「家か………」
飛鳥は本当に小さな声でそう寂しそうに呟いた。
夜城「これがその娘さん、図盛 翠雨さんです」
写真に写っている少女は丁度10歳くらいの幼い子だった。
そしてその娘に深夜は見覚えがあった。
深夜「この娘、今日ここに来る前に会ったぞ……」
一同「「「えぇぇぇぇぇぇ?!」」」
to be contenued
はい。それで重大発表なのですが、かなり前の事なんですが遂にこの小説の本タイトルが決まりました!!
タイトルは次回発表予定です。
また修正等などで時間がかかってしまいましたが夏の休暇もあるのでなるべく早めに投稿できる はず! です。
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L504ryuzakiで調べてね!
それではまた次回!