とある神社
2020年、夏。高校1年生の藤堂昴とその彼女、柊美那子は、昴の家で夏休みを利用してどこかへ出掛ける計画を立てていた。ガイドブックを見て美那子が、
「ねぇ昴、この遊園地とかどう?」
「この前行ったばっかりだろ遊園地は。別のとこいこーぜ。」
一瞬ため息を漏らした美那子はガイドブックのページをぺらぺらめくり、
「う~ん…あっ!この神社とかどう?」
「じっ、神社って…マジかよ…」
その神社はお参りすると恋愛が成就したり交友関係が上手くいったりするらしい。美那子のねらいはこれなのだろう。昴は否定するも結局美那子の押しに負け、渋々神社へ行くことになった。
そして2日後、その神社まで徒歩で行くことになった。
「いちいち徒歩じゃなくてもいいじゃん…」
弱音を吐く昴に対し美那子は、
「いいじゃんいいじゃん!ピクニック気分で!」
美那子はけっこう体力のあるほうだった。
そして2時間後、
「着いたぁー!」
まだ元気のある美那子に対して昴は息を切らして、
「ハァハァ…こんな森ん中にあんのかよ…」
「とりあえずお昼過ぎたしお弁当食べよっか!」
そう言って美那子はリュックから風呂敷に包まれた弁当箱を2つ取り出した。昴が弁当箱のふたを開けると、ふっくらとした玉子焼きやタコさんウインナーがあった。
「うお!こりゃ美味そうだ!」
昴は弁当に食いついた。
「おいしいかな?」
「最高ですぞ。美那子さんのお弁当は。」
「やったぁ!」
そして弁当を食べ終わり、2人はお参りをした。
「美那子と仲良くやっていけますように!」
「昴と仲良くしていけますように。」
お参りが終わり、2人は帰ろうとした。そのとき、
ガラッ。
神社の裏のほうから物音がした。
「なんだろう今の音…昴、ちょっと行ってみよ!」
「え~、帰ろうぜー。」
美那子は強引に昴の手を引っ張って神社の裏まで行った。するとそこにはほこりが所々ついた古い障子戸が神社の裏の大樹に張り付けられていた。戸は少し開いているようだ。
「さっきの物音は戸が開いた音だったのね。」
「でもなんで開いたんだろう…」
昴が戸を全て開くと奥には暗闇が続いていた。
「うわっ!暗っ!怖いけど行ってみるか?肝試しってことで。」
「う、うん…何かあったときは助けてね…」
「おう!守ってやんよ!」
2人は吸い込まれるように暗闇に消えていった。
-------障子戸の角には平仮名でこう書いてあった……「びとれいある」
勿論2人は地獄が始まるのは知る由も無い。