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ラブレター編①

あの一件から、三日程経った頃。


いつもどおり僕は家を早めにて出て、Vtuberのオリソンを聞きながら学校へ向かう。

誰よりも早く教室に着いた僕は、いつものように日直の仕事をこなし、それが終わったら端の席でスマホをいじる。ここまでは一緒の流れなのですが、いつもと違う事が多々ありまして……。


「ん? あ、伏見さんからラインだ」


そうです。ついに僕にもラインで連絡を取り合う仲の人ができたのです。


人生で初めてのラインで連絡を取り合う仲の人ができました。

この事に関してはすごい嬉しいのですが、一つ疑問があるのです。


これって、友達って事でいいの? それともただラインをしてるだけで、まだ友達までの仲じゃない?

僕は今まで友達ができた事がないので、その辺の線引きが分からないのです。


でもこれは個人の価値観にもよるので、僕の中で勝手に決めつけていいかもしれませんが……。


でも、勝手に友達と決めつけて、伏見さんや桂さんに『は? いつから私たち友達になったの? 勘違いしないでよ』とか言われると、ショックで入院するレベルなので、決めつけても言葉に出さない方がいいのかもしれません……。


まあ、あの二人はそんなこと言わないと思いますけどね。


『おっはよー!! 今日も寝坊だー泣 秒で準備して、秒でガッコいくわ!!』


『おはようございます。気を付けて来てくださいね』


僕はスマホで淡々と文章を打ち込み、返事を返す。


これってやっぱり堅いのかな……?

ラインにまだ慣れてないので、返事にぎこちなさが出てる気がする。


しばらくすると、クラスの人達が次々と教室に入ってくる。


「おはよー」


「おっすー」


「はよー」


あ、そういえば、宇崎君はもちろんこのクラスには来ないですよ。

あの一件で、退学になりましたからね。


ごのご時世、暴力沙汰は厳しいのでしょう。いくら生徒同士であろうと、処罰は厳しいみたいです。


まあ、僕的には、いなくなってくれた方が、精神的に楽なのでいいのですが……。


宇崎君が急に学校をやめる事をクラスの担任から聞かされた時は、さすがにクラスのみんなは大騒ぎでした。僕は何も思いませんでしたが。


仲には泣いてる人もいましたが。女子だったので、多分宇崎君の事が好きだったのでしょう。


だが今はどうでしょう。クラスの人達は、まるで元から宇崎君がいなかったように、学校生活を送っているではありませんか。


慣れって怖い……。


しょせんその程度だったんでしょう。

桂さんの言う通りです。


そして一時間目が終わり、休憩時間になりました。


端の席でボーっとしていると、何やら教室が騒がしい。


あ、来てくれたんですね。


「太田くーん! おはよ!」


「おはようございます。伏見さん。桂さん」


「うん! おはよ!」


「おいっすー」


この二人は休憩時間になると僕のクラスに顔を出してくれるようになりました。


しかも、毎回の休憩時間に。


さすがに申し訳ないので、昼休みだけで大丈夫ですと言ったのですが、伏見さんが『敵情視察!』とか言っていたのでもう諦めました。

でも敵って……。宇崎君はもういないのに……。誰の事なんだろう。


「遅刻は大丈夫だったんですか?」


「うん! 全然平気だったよ」


「嘘つけ。ギリギリだったじゃん」


「へへへ……。ま、まあ間に合ったからセーフだよセーフ!」


可愛い……。


「ほら。もうチャイムなるよ」


「うわマジじゃん。じゃまた来るね!」


「はい。いってらっしゃい」


え? 自分から伏見さんの教室に行けって? 


なにをバカなことを……。僕がそんな事できるわけないでしょう。

ただでさえコミュニケーション能力が無いのに、ましてや極度の人見知りだぞ。


そんな僕がこの学校のトップに君臨する人達の教室に入れる訳がないですよ。


オタクなめてんじゃないですよ。




そして時は過ぎ、放課後。


今日は伏見さんや桂さんはバイトがあると言って先に帰っていった。


すごいなー。バイトまでしてるなんて。

僕もしてみようかなー。


どんなバイトがいいのかな、なんて事を考えながら僕の靴箱を開けて靴に履き替えようとすると、一枚の紙が落ちてきた。


「……? なんだろう……? 僕の靴箱に入ってたんだけど」


落ちた紙を拾う。なにやら手紙のようだ。


……ハートマークのシールが付いている。


「……まっさかー。ないない。この僕だぞ? 多分入れ間違えたんだ」


そして手紙の表を見てみると……。


『太田浩二郎君へ』


と、可愛らしい字で書いてある。


……いやいやいやー。まさかねー。


ないないない。さっきも言ったが、この僕だぞ? コミュ症のオタクだぞ? 


「と、とりあえず、中身を見てみるか……。て、手紙じゃないかもしれない……。なにか落とし物があったとかそういう事を教えてくれてる内容かもしれないし……」


僕は心臓が飛び出るくらいドキドキしながら、手紙を読む。


『初めまして。こんな手紙でごめんなさい。いきなりですが、実は前から太田君の事が好きでした。明日の放課後、体育館の裏に来てくれませんか』




…………え。


……えぇー---!?!?!?!?!?!?



ラ、ラブレターー--!?!?!?!?!?

















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