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ラブレター編⑨

佐野一派が部室に入っていった瞬間、僕らは静かに教室の扉に近づく。


『おいーす。美智子ちゃんーん。この前の件、しっかりやってくれたー?』


『……あ、佐野先輩……。いえ……、断られました……』


『……は? じゃあ金は? 友里、今月ピンチなんだけどー」


『……お金は今回はありません……」


『……もっかい行けよ。ちゃんと墜としてこいって。その無駄なお肉を使ってさ。今回はちゃんとしてくれないと困るんだよねー」


『……なんで、太田先輩にこだわるんですか』


『そら、そいつがあの女の彼氏だからに決まってんじゃん』


……ビンゴ。やはり佐野は勘違いをしていたらしい。むしろそのまま勘違いしといてくれ。そっちの方がこちらとしてはやりやすい。


後はこの二人が突入するタイミングだな。もうちょっと話を深堀りしてもらわないと。

頑張れ。本田さん。


『あの生意気な女が絶望に満ちた顔を早く友里に見せてよ。あいつのせいで和樹に振られたんだから』


『……それ、ただの腹いせじゃないですか。別に伏見先輩は関係ないじゃないですか』


『……は? なんか今日、えらく反抗的じゃん。自分がどんな立場に居るか分かってんの? こっちはいつでもあんたを退学にできること、忘れたの?』


……いちいち鼻にくる喋り方だな。常に相手を見下し、自分が上だと証明しようとする。


僕が一番嫌いな人間だ。



『……いえ……。でも……』


『でも、なんだよ? まさか、やめるとか言わないよね? そんな事したらどうなるか……。分かるよな?』


『…………どうにかその動画を消してくれませんか……。お金はこれからも払うので……』


『……はー? 消すわけないでしょ? ……知ってた? 今の時代、別にプロじゃなくてもアダルトサイトに投稿することだってできんの。いわば素人物として投稿するってこと。もちろん友里がね? それでそのお金も友里に入ってくる。やばー。友里ってやっぱ天才?』


『ただの悪魔じゃん。でもおもしろそー』


『でしょでしょー。いやー。あの教育実習生に感謝だなー』


『……そ、そんな……!?』




……そう来たか。

こいつ、お金のことしか考えてないじゃないか。


脳みその根っこから腐ってるな。


「……ねえ、太田君……。まだ……?……」


「……まだ、もうちょっと我慢してください……」


伏見さんはもう我慢の限界らしい。そう言う僕も我慢できそうにないけど。


こいつは人の事を人として見てない。

こいつは人の皮を被ったなにかだ。

なんでここまでできるんだ。普通はちょっとでも罪悪感が湧くだろう。


「……ここまで腐ってると思ってなかった。……太田君。物理的な制圧はできるだけ避けたいって言ってたよね? もうそれは無理だよ。こいつは一回半殺しにしないと、この学校が腐っちゃう。………害虫は駆除しないと……」


「……桂さん。そうですね。でもー-」


「分かってる、ちゃんと証言になるように最初は持っていくよ。でも、それからは好きにさしてもらうよ」


「……分かりました」


さすがの冷静さだ。

でもそれで桂さんや伏見さんが退学になるようなことがあっては、元も子もない。


だからこそ、もっと証言がいるのです。


具体的には、佐野友里のクズっぷりを動画に納める。

その動画を見た九割の人が、佐野友里を非難したくなるほど。


こういうときにネット民が大好きな、誹謗中傷攻撃の出番さ。


佐野友里には社会的に死んでもらう。

それでメンタルが壊れて自害しようが知ったことか。


……お前が悪いんだろう?





『……そ、そんなの、ただの犯罪ですよ!?』


『だからー? バレなきゃいいの。友里はこれでも学校以外でも顔が広いからさー。そういう犯罪系はお願いしたらなんとでもしてくれるの。でも、いいネタになるよ? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()あの時の友里の起点の速さを褒めてほしいわー』


『……クズですね……! 人として恥ずかしくないんですか!?』



『……あんた、さっきからなんなの……? ちょっと生意気過ぎない……!?』


『きゃ!! い、痛いです……!! は、離してください……!!』


『お前が悪いんだろ!? おめーみてーなブスには髪の毛なんていらないよなー!?』


何事かと思い、扉の隙間から覗いてみると、本田さんの髪の毛が佐野に引っ張られていた。


……突入するなら今しかない。


「二人とも、今です……!……」


僕の合図で勢いよく扉を開け、部屋に入る二人。

今の二人はまるで鬼神の如く、怒りに身を任せている。


さあ……!! 

ここからは僕らのターンだ……!!





すいません。次話から本格的にざまあします。

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[一言] やっぱりこの主人公嫌い
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